賃貸管理でよくあるクレーム・トラブル6選
2020.06.25
不動産の賃貸仲介業の繁忙期。
忙しい最中には、数々の失敗が起こりがちです。
時間をかけて努力して、せっかく契約までに至りそうなのに、莫大で煩雑な業務の中でトラブルや失敗があり、契約がまとまらなかった、なんて事にはなりたくありません!
個人の失敗やミスが、会社の信頼を失う事に繋がるケースもあります。
さらには、多忙のため家族や彼女との関係を犠牲にしてしまい、何のために働いているかわからなくなったりするのも不本意です。
今がまさに繁忙期。
ぜひこの記事を参考にしていただき、少しでも業務効率の改善や対策になるようお役立てください。
不動産賃貸営業の繁忙期は、新年度の4月を控え、1〜3月の引越しシーズンです。
各月ごとに、状態を見てみましょう。
●1月…繁忙期がスタートする
4月からの予定が早めにわかっていて、賃貸物件を探す方は、年が明けてから動き始める人が多い傾向にあります。
お正月休みが明けてから、1月初旬から繁忙期がスタートします。
この時期にすでに、春からの暮らしに備て物件探しをスタートする方は、余裕を持ってより良い物件を探したいという、準備に余念がない方々です。
スピード感よりも丁寧な対応を求めている方が多いと言えるでしょう。
すぐに契約に結びつかなかったり、契約時期まで時間を要するケースも多いですが、間際になったお客様の気分が変わったりする事がないように配慮したり、無理やり1~2月の契約や売り上げに繋げようと焦って交渉を進め、トラブルにつながってしまったりということがないようにする配慮が必要です。
●2月…既存物件の退去への対応と、新規顧客への提案時期
2月から3月にかけて、退去の申し出のピークとなります。
退去の対応に追われるのはもちろんのこと、1月と2月に申し込みや反響のあったお客様に、空室となった物件の紹介を同時進行でする事が必要になります。
また、1月中に仮契約として物件を押さえ、2月の退去が出た物件を待っているお客様もいるので、キャンセルの対応や、その物件をさらに他の方に提案するなど、業務が混乱や複雑さが出てくる状態にもなります。
さらに、2月からは新規のお客様の反響も1月より多く出てきますから、仕事量は嵩むばかりになる時期です。
●3月…最盛期
最も忙しくなる時期です。
・新生活を迎えるお客様が実際に引越しで動き始めます。
・またこの時期に申し込みや問い合わせをされるお客様もさらに増えます。
・1月と2月に対応していたお客様が、物件を決め契約される事になります。
・3月に入ってから急遽退去されるケースもあります。
閑散期と比べると、繁忙期の契約数は数倍にも及び、業務量も増え、物件情報のご案内時・契約時とどのフローにおいても、失敗やミスが最も出やすい時期にもなります。
タスクの管理や、スケジュール調整が重要な時期であり、この3月に向けて、本来あらかじめ閑散期のうちから、会社全体で業務効率の改善や対策について十分検討をしておく必要があります。
3月は営業マンや宅建士にとって、覚悟を決め淡々と事務作業に徹する必要がある時期で、焦りによる失敗やミスを最小限に喰い止めるようにします。
●9〜10月もプチ繁忙期と言われます
1〜3月とまでは言わないものの、企業の転勤や移動が10月に行われる事が多いため9〜10月もプチ繁忙期となります。
学生の引越しがないので、1〜3月ほどの件数ではないですが、転勤となると急ぎの契約を望む方が多いため、営業マンにはお客様の要望を的確に把握し迅速に対応する事が求められます。
また、この時期は単身の引越しでなく、ファミリー層への対応も多くなるのが特徴であり、単価や一件あたりの売上も上がる事にはなりますが、お子さんの校区の確認や、住みやすさ・子育てのしやすさなどのニーズに対する確認も増えるため、業務量が多くなリます。
うっかり!アポを忘れていた!という事があり、青ざめた経験・・・一度はあるかもしれません。
繁忙期にこそこのような事が起こってしまう、でもあってはいけない失敗です。
・そもそもアポを入れたのに、スケジュールに入れ忘れていた。
・スケジュールには入れてあるのに、前のお客様の対応やトラブルに追われ、うっかりしてしまった。
このどちらかで発生してしまうミスです。
タイトなスケジュールの中、待ち合わせ時間に間に合わなかったなんて事も、お客様からの信頼を失ってしまう、とても嫌な失敗です。
これは、上記の「予約やアポを忘れていた」というよりも多く!ありがちな失敗です。
・メールやLINEの返信をせず、そのままにしてしまった。
・質問への返答・不明点の確認など「後で調べてかけ直します(返信します)」と言い、そのままうっかり対応を忘れていた。
このような事は、繁忙期に忙しい営業マンには起こりがちです。
「後ほどご連絡します」「調べてから(お電話を)折り返しますね」と言ったまま忘れてしまったり、接客中や移動中の連絡に対しての電話やメールに「後で」と思ったのに、つい頭から抜けてしまったり。
誰にでも起こり得る失敗ですが、絶対に無くしたいケースでもあります。
うっかりしていたり、時間が足りなかったりして、対応すべきお客様への事務的な書類の
・作成が間に合わない
・書類が足りない
・記載や記入が間違っていた
という事があります。
お客様からの信頼を失いやすいポイントに繋がります。
リアルタイムで良い空き物件が出ている情報を掴みきれず、目の前のお客様のニーズに最適な物件をご案内できなかったり、
心の余裕がなく、お客様のご要望をキャッチしきれずに、満足いただける物件を提供する事ができなかったり、
そもそも、接客の対応が乱雑になってしまったりして、
せっかくの入居希望者であるお客様のニーズに対して、満足していただけず、顧客を逃してしまうケースがあります。
前述したような失敗により、特にクレームも言われず黙って遠ざかってしまうお客様は多数いらっしゃいます。
これも営業的には大きな失敗と言えるでしょう。
しかし、目の前のお客様を怒らせてしまった、憤慨させてしまったというケースの失敗も、営業マンにとってはとても大きなダメージになります。
・クレームがあったのにすぐに対応できず、時間がかかってしまった。
・クレームへの対応に、お客様は納得されず離れてしまった。
・クレームへの対応が不適切で、より大きなトラブルに発展してしまった。
そもそも忙しい繁忙期にこのようなケースがあっては、クレーム対応に時間を取られてしまったり、精神的なダメージにより他の業務に専念できなくなってしまう、という更なる問題に発展してしまいます。
対策については後述します。
忙しい時こそ、チームワークや連携プレーが必要ですが、
忙しい時こそ誰もがストレスを抱えたり、物理的に協力し合える余裕がなくなってしまったり、ついつい態度や言葉が乱雑になるなどして、社内で・従業員同士でトラブルが起こってしまうというケースもあります。
あってはならない、起こしたくないケースですが、繁忙期こそ起こってしまう可能性があります。
そもそものシステム管理や、従業員同士のマナーや、マネジメントが不可欠でしょう。
忙しい最中こそ、困り事も山積みになってきます。
前述したような「失敗」が起こる土台には必ず、元々何かに困っている状態があるのではないでしょうか。
不動産賃貸仲介業の繁忙期に、何に困っているのか、何が問題になっているのか、業務の担当ごとに見ていきましょう。
①売上目標の数字を上げること
繁忙期こそ、売上の数字がのしかかっている営業所や営業マンは多いでしょう。
売上目標に届くか届かないかという精神的なプレッシャーは、よりパフォーマンスを上げる事もありますが、時には様々な弊害をもたらすこともあります。
例えば
・身体に現れてしまう
・本来のパフォーマンスに繋がらなくなる
・無理な契約に繋げようとしてトラブルの原因になる
・ミスが増える
などという事が起こらないようにしなければいけません。
②退去の処理と営業面での提案が同時期に重なる
退去の処理が中心になる期間と、営業面での提案の時期と分かれていれば、不動産業の業務の混乱は減るかもしれません。
しかしながら、不動産賃貸管理業の一番の課題は、退去者への対応と入居希望の方への対応が同時期である(=繁忙期)という事です。
そこで、退去と入居のどちらもの業務を、マルチに同時にこなしていくためには、そしてミスや失敗を無くし、的確な処理や対応をしていくためには、社員のスキルアップと、ベースとなるシステムの導入や管理が不可欠となります。
③事務処理が莫大に増える
事務員がいたとしても、自分にしか処理できない事務的な業務が必ずあります。
そもそもその処理に大きな時間が取られます。
または次の接客や対応のために、記録などの事務的な処理をおろそかにしたり後回しにしてしまっては、なかなかできるものではなく、トラブルにつながってしまいます。
④時間がない、残業が増える事からの疲弊感
・お客様に対応が間に合うかの心配
・次々と押し寄せる対応への疲労
・アポを入れる隙間がないスケジュール
・残業になり帰宅が遅くなる
・プライベートの時間がなくなる
繁忙期=忙しい=時間がない=時間に追われる
そのことにより、焦る、疲れる、嫌になるなどが起こります。
宅建士の仕事も、本来メインの業務は営業活動になります。
しかし、宅建士にしか出来ない業務が多く、特に
・重説の作成
・重説を行う
などの業務には相当な時間を要してしまいます。
すると、宅建資格を持つ宅建士は、本来の営業の業務に充てる時間が減ってしまい、会社全体の効率や業績も落ちてしまうことに。
かといって、資格を持つ宅建士を多く雇うと、会社の経費(人件費)がかかりすぎてしまいます。
最近では、この2つの業務をアウトソーシングするケースも多く、その件については後述します。
入居希望者が増える繁忙期には、物理的に、内見に同行できるスタッフの確保や、内見用に使う車が足りなくなるという問題が起きます。
繁忙期に備えて、車の台数を多めに確保しておくというわけにはいきません。
また、移動時間が入るため、人と車を確保するため所要時間も大きくなります。
物件の下見や案内はスピードと速攻性が勝負です。
車の確保ができる数日後に、予約を取っていただくなどというようなことは言っていられません。
改善対策は後述します。
①重説の作成をアウトソーシング
重説の作成は外部委託・外注することができます。
繁忙期だけでも外部の宅建士に委託することで、社内の宅建資格を持つ営業マンの負担が軽減されるでしょう。
「契約書の作成や重要事項説明書の代行とは|サービスやメリット・デメリットを解説」
②重説をIT重説に
重説がオンラインで出来るようになったのは、2017年からとずいぶん経っていますが、2022年の改正宅建業法施工より、不動産取引の完全電子契約化が解禁になり、ますますIT重説を行いやすくなりました。
また、コロナ禍においてZoomを中心としたオンライン会議ツールの一般家庭における普及が進み、IT重説のハードルが不動産会社とお客様の双方において下がったと言えます。
お客様に会社まで来ていただくと、来客の方に接客をするだけでも業務上の負担がかかる事があります。
重説をIT重説で行えるだけでも、業務は多少効率化できるでしょう。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎参考記事:IT重説とは!?IT重説を活用する5つの必要性と6つの注意点
③IT重説をアウトソーシングする
②の重説をI T重説に切り替えるという対策もオススメですが、それが出来るなら、そもそもIT重説をアウトソーシング(外部委託)してしまえば、かなりの業務効率化になります。
そうすれば、社内の宅建士が繁忙期に、営業の業務に時間をかけられて会社全体の業務効率が上がります。
ただし、IT重説のアウトソーシングには法律面で違法にならないための知識や対策が必要となります。
詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
▶︎参考記事:IT重説を外部委託(アウトソーシング)する際の方法と注意点は?
①タクシー会社との契約
タクシー案内を活用することで、繁忙期の人員不足を解消し、業務時間の有効活用する方法があります。
スタッフの業務時間削減と生産性の向上を実現します。
スマホ案内+タクシー案内で業務効率&成約数向上!しているケースがあります。
▶︎参考となるサイト:クラスココンサルファーム|スマホ内見ノウハウ「あんないと」(不動産テック・アプリとしてもご参考にしてください)
②内見をVRで行う
繁忙期に内見のための車や対応できるスタッフが不足する件は前述したとおりです。
また現地で内見に対応するには、往復の移動時間も必要となり、繁忙期には時間を要してしまうことで、業務効率が下がってしまいます。
VRで内見を行う方法は、繁忙期に限らず、遠方のお客様への対応や、コロナ禍での対応にはとても適しています。
▶︎おすすめのVR内見不動産テック(アプリ)「ノダルビュー」
来店されたお客様の情報を、漏れなく登録して管理する事は相当な業務量になります。
お客様への対応において、お客様のニーズに応えるためには、できる限り正確で細かな情報を受け取り、その情報を漏れがないように記録に残す必要があります。
さらには、その記録を営業に活用する事で、お客様のニーズに応えていく事になりますが、システム次第では、その情報の管理が煩雑で営業に活かしきれていないケースもあります。
繁忙期には、顧客データの入力だけでも時間がかかってしまいます。
お客様のニーズに応える営業に反映させるためには、すでに管理されているシステムの導入が不可欠でしょう。
▶︎おすすめの顧客情報登録アプリ:「とうろくん」不動産テックのTATSUJIN
繁忙期には、トラブルやクレームがどうしても増えてしまうことも否めません。
対応の良し悪しによっては、その案件がさらに大きなクレームに発展してしまうケースまであります。
実際に起こってしまったトラブルへの対応は、社内でマニュアル化されていて、いざという時に誰もが迅速に対応できる必要があります。
ですが、繁忙期には社内の誰もが忙しく、フォローや協力に対応しきれない場合も出てきます。
社内でマニュアル化された対応策を、誰もがスムーズに確認できるシステムが必要となるでしょう。
▶︎おすすめのお客様対応マニュアルアプリ:「ちんたいちょう」不動産テックのTATSUJIN
繁忙期は、今回の記事でまとめたように、多忙である上に失敗やミスが増えがちな時期。
ですが、会社としてとても大切な、名の通り繁忙=繁盛の時期でもあり、売り上げや業績を上げていくチャンスの時期でもあります。
1月から3月の売り上げが年間の収益に大きく影響すると考えられます。
しっかり売り上げアップの目標を達成していくためにも、事前の準備や日頃の対策が欠かせません。
スムーズに稼働し、ミスや失敗を無くし、ストレスなく業務をこなしていくために、今回の記事を参考にしてください。
繁忙期をどのような対策で乗り越えるのか、またどのように業務効率を上げて売上げに繋げるのかを、今回の記事でまとめました。
まとめ記事として、ぜひ各項目をご覧いただき活用してください!
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