賃貸管理でよくあるクレーム・トラブル6選
2020.06.25
2021年5月にデジタル改革関連法が成立し、9月より「押印義務の廃止・書面の電子化」が認められるようになりました。
さらに、2022年5月に宅地建物取引業法が改正され、不動産取引における電子契約が完全に可能となりました。
しかし、不動産関連は契約書の電子化が遅れている分野のひとつとも言われています。
現在では、ビジネスで使用される契約書の多くは電子化が認められており、ペーパーレス化やオンライン化は当たり前になりつつあります。
今回は、そんな「電子契約」とはどういうものなのか、電子契約のメリットと注意点も解説していきます。
契約の証拠となる契約書を、紙ではなく電子ファイルで作成します。
紙と違い、電子ファイルには印鑑や印章で押印をおこなうことができません。
契約書に記名押印や署名がなければ、トラブルが起こった際に証拠としての信憑性の低いものとして扱われてしまいます。
また、相手や第三者が契約書を捏造、改ざんするといったさまざまなトラブルを招きかねません。
そこで電子契約では、押印の代わりに「電子署名」を用います。
電子署名を施した電子契約は、誰が作成したのか証明することが可能となり、改ざんされていないことも確認できます。
こうすることで、紙の契約書と同じ法的効力を有します。
法改正により契約書や議事録の電子化が認められる不動産関連の書類は次の通りです。
・媒介契約書(34条の2書面)
・重要事項説明書(35条書面)
・賃貸借契約書(37条書面)
・売買契約書(37条書面)
・定期借地権設定契約書(22条書面)
・定期建物賃貸借契約書(38条書面)
紙媒体の書面を用いない場合でも電子媒体の文書データ作成義務があり、文書自体が不要になる訳ではありませんのでご注意ください。
なお、電子データで文書を管理する場合はタイムスタンプなどの非改ざん性を証明できる電子技術の導入も必須です。
不動産売買に電子契約を取り入れた場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
契約のためにお客様の元を訪れたり、個別に時間を取る必要がなくなります。
好きなタイミングでやり取りできるので成約にかける期間や手間を省くことができます。
電子契約なら従来よりもスピード感を持って対応できるため、業務効率化につながるでしょう。
万一修正が必要となった場合でも、迅速に対応できるのも魅力です。
今まで以上にスピーディーな契約締結が可能となれば、お客様の満足度や安心感も高まります。
不動産の譲渡や売買に関する契約書、土地の賃借権に関する契約書、建築の請負に関する契約書には、印紙税がかかります。
不動産売買契約書に記載されている金額が大きくなるほど徴収額が増します。
一方、電子契約は収入印紙を貼る必要がなく、印紙税さらに郵送費をカットできます。
多くの不動産に関する契約書を交わしている場合、印紙税の大幅なコスト削減が実現できます。
契約書を電子化してデータベース化することにより全ての契約書の一元管理が可能です。
また、物理的な契約書を保管する必要がないため、保管場所に悩むこともなくなります。
不動産売買契約書は、債務不履行による損害賠償ができる期間の10年間、あるいは不法行為による損害賠償請求権の期間となる20年間は保存を推奨されています。
紙で管理すると大量にファイルが増えてしまい、目的の書類を探しにくく手間や時間がかかります。
電子ファイルの検索であれば、タイトルや時期、検索タグなどを用いてあっという間に目的の書類を探し出せるのでとても便利です。
コロナ禍による外出の自粛やテレワークの広がりなどもあり、物件の内見や説明、さらには契約もオンラインで完結させたいというニーズが高まってきています。
電子契約ならすべてインターネット上で完結するため、リモートワークでも対応しやすい点も大きな魅力です。
セキュリティ対策が万全な電子契約システムを利用すれば、情報漏洩も防げます。
特に契約書の持ち出しや自然災害などで紛失してしまうリスクが低減されるため、コンプライアンスの強化にもつながるでしょう。
電子契約を導入することで多くのメリットがありますが、その反面、注意すべき点もあります。
導入する際にはしっかり理解しておきましょう。
電子契約のを導入する場合、サービスや新たな設備・システムを準備する必要があります。
また、重要事項説明・売買契約締結・媒介契約締結の書類だけでなく、更新・退去・駐車場の契約書類もまとめて置き換える必要があります。
余計な手間を省くためにも、一斉に進めていくのが大切です。
電子契約化において、セキュリティ対策は欠かせません。
オンライン上でのやり取りは、データの管理や共有がしやすくなる一方で、情報の流出やデータ消失のリスクが伴います。
データ消失を防ぐための定期的なバックアップ、契約書の改ざんや漏えいを防ぐための仕組みづくりなど定期的な作業も必要になってきます。
サービスの契約やセキュリティ対策の強化など、コストも発生してきます。
電子契約を行う場合に忘れてはならないのは、自社だけが対応すればよい、というわけではないことです。
個人のみならず仲介業者も電子契約に対応していないこともあります。
電子契約を導入したくても、セキュリティ面や保管方法に不安を感じ、書面交付にこだわっている企業は少なくありません。
電子契約のニーズが高まっているとはいえ、まだ社会全体に浸透しきっているとは言えない状況です。
紙の契約書があるという安心感を重視する方が一定数いることを理解し、場合によっては紙での契約にも対応できるようにしておく必要があります。
コロナ禍により、ますます需要が高まってきているオンライン化。
デジタル改革関連法が施行され、不動産売買の取引にも電子契約が可能となりました。
しかし、不動産関連は契約書の電子化が遅れている分野のひとつとも言われています。
導入を検討されている方は、メリットや注意点を始め、スムーズに移行するためにも電子契約の基本的な流れや契約当事者の本人確認をおこなう仕組みを必ず確認しましょう。
〈参考〉
TSTSUJIN journal:不動産取引の電子契約が本格化-2022年5月
-----------------------------------------------------------
不動産テックのTATSUJIN JOURNALでは、最新の不動産トレンド、不動産テック、賃貸仲介・売買の業務改善事例、セミナー情報などお役に立つ情報を日々発信しています!
入居者ニーズの変化や新型コロナウイルス感染拡大などによって、時代の変化に応じた取組みが今まで以上に必要となってきました。
そこで、賃貸管理会社の皆様のお悩み、課題を安心安全な状態で解決するために、毎日オンラインセミナーを開催し、最新の情報をご提供しております。
その他、賃貸管理会社の皆様にお役に立てる情報をメルマガ・LINEにて配信しております。
こちらもぜひご登録お願いいたします!
-----------------------------------------------------------