賃貸管理でよくあるクレーム・トラブル6選
2020.06.25
長期化する新型コロナウイルスの影響下で、家賃の滞納者が増加しております。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の賃貸住宅市場景況感調査によると、2020年下半期の「2ヵ月以上の家賃滞納率」は全国で1.1%。首都圏では0.8%、関西圏では若干高く1.4%率となりました。
コロナ禍前の2019年下期と比べて、全国では0.2ポイント増、首都圏でも0.2ポイント増、関西では0.3ポイントの増加となっています。
もはや、他人事とは言えない状況ではないでしょうか。
今回は、家賃滞納の督促方法とやってはいけない注意点を解説いたします。
まず、家賃滞納が発生するとどうなるか、例えば、管理会社で滞納の一時立替をしている場合は家賃が入らなくて自社が困ってしまいます。
その分の損失を受ける場合があります。
オーナーへの送金がストップされる場合は、銀行への借入返済が出来なくなったり、生活が困難になるケースがあります。
ゆえに、滞納督促は管理会社にとっても気持ちの良い仕事ではありません。
自分の感情が優先してしまうと、嫌な思いをしてしまうでしょう。
滞納督促とは、経験や勘・根性で行う仕事ではありません。
「滞納に会えるまで家の前で待っていろ」
なんていうやり方は絶対にNGです!
きちんと書面を整備し、期日確認の体制を作ります。
そしてトークスクリプトを作るなど、ツールを充実させることでストレスの少ない督促業務を行うことができます。
賃貸住宅の借主が家賃を滞納している。
そんなとき、必ず毅然とした態度で行わなければならいのが家賃の督促です。
しかし、強硬的な手段をとりすぎると法に触れてしまう可能性もありますので、慎重に行動しましょう。
家賃督促の手段としてまず最初に挙げられるのが「電話」です。
借主が家賃を滞納している事実が判明した際、まずは電話で督促を行う賃貸管理業者の方も多いのではないでしょうか。
「振り込みを忘れていた」というケースもよくあるため、関係性が崩れないような対応を心がけましょう。
【電話での督促をする際のポイント】
1、契約書に基づいて、契約違反であることを伝える。
2、大至急、入金してください。
3、遅れた理由を必ず確認する。
※振込忘れの場合は口座振替に変更してもらう。
【電話督促をする際のNGワード】
・すみません‥
これは滞納者が「自分は悪くない」と思ってしまうためNGです。
・いつ頃入金してもらえますか?
このワードは相手に下駄を預けてしまいます。
主導権を渡してしまう発言になるので、必ずこちらから「◯日までに大至急入金してください」と期限を切りましょう。
初回の督促状は有効ですが、マンネリ化すると効果は激減します。
内容を変える、赤文字にするなど、段階的な工夫が必要です。
基本的に、電話による督促も督促状による督促も、法的な効果は変わりません。
督促に関しては、人の私生活を害するような行為であってはならないため、連帯保証人ではない親族や勤務先、友人宅等に督促状を送ってはいけません。
基本的には本人の自宅に郵送します。
督促状を郵送しても何も反応がない場合、内容証明を郵送します。
内容証明はインパクトがあり、効果は大きいと言えます。
ただし、法的拘束力はありません。
常習的な滞納者に効果はありませんが、内容を明確に残すために使用します。
実際に滞納者宅へ訪問する場合もあります。
しかし、会えない場合もありますのでロスは大きいと言えます。
ですので、ある程度限定した上で訪問しましょう。
会えない場合も訪問通知を残し、訪問したことを相手に伝えます。
滞納者と会えた際には、必ず書面にて次回の支払い確約を行います。
常識の範囲を超えるほどの訪問は禁止されていますので、回数や時間帯にも注意が必要です。
※深夜~早朝(午後9時から午前8時)は電話は訪問、FAXやメールも控えます。
家賃等の滞納は借主としての基本的な義務である賃料支払義務に反する債務不履行行為に当たります。
債務者である借主に対して不払いの事実を告げ、支払いを促すことは当然に権利として認められる行為です。
しかし、その方法には一定の制限があり、その制限を超えた対応は不法行為と評価されることがあります。
借主に家賃滞納という債務不履行があるとはいえ、その督促は借主らの私生活の平穏を保持するという観点から、社会通念に照らし合理的な方法で行わなければなりません。
借主側の都合により訪問時間の指定がある場合や、どうしても連絡がつかない場合などの正当な理由がない限り、深夜時間帯(午後9時から午前8時)の督促行為は督促方法として合理性・相当性を欠くものと考えられます。
家賃等の滞納は賃貸借契約上の問題であり、貸主対借主の個人間の問題です。
その問題を第三者の目に触れるような形で、しかも金銭債務の不履行という事実が明らかになるような形で公表することは督促方法として合理性・相当性を欠くものと考えられます。
賃金業法でも、取り立て方法の規則として「張り紙、立看板その他何らの方法を持ってするを問わず、債務者の借入に関する事実、その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること」が禁止されています。
(賃金業法第21条第1項第5号)
借主側の都合により連絡先を居宅等以外に指定している場合や、どうしても連絡がつかない場合などの正当な理由がない限り、居宅等以外の場所への督促行為は督促方法として合理性・相当性を欠くものと考えられます。
賃貸借契約において家賃滞納があった場合に、その支払い義務を負うのは、借主と契約において借主以外の第三者が家賃等を支払うものと取り決めがあった場合の当該第三者、保証人です。
賃金業法では取り立て行為の規則として「債務者等以外の者に対し、債務者等に代わって債務を弁済することを要求すること」を禁止しています。
部屋の鍵を勝手に交換、もしくはドアロックをつけるなどして家賃滞納者を賃貸物件に入室できなくする行為は絶対に控えるべき行為です。
民事法上の概念「自力救済禁止の原則」によりこういった対応は禁止されており、実行者が住居侵入罪や器物損壊罪に問われる可能性があります。
〈参考〉https://www.hosyo.or.jp/realpartner/1004shijyo.pdf
家賃滞納の督促方法と不法行為を解説させていただきました。
家賃滞納が発覚した場合には、毅然とした態度で家賃を支払ってもらうべきですが、法律に違反してしまうような督促行為をしてしまうと、問題は家賃滞納に留まらず、裁判や損害賠償などの余計なトラブルを発生させてしまいかねません。
どのような督促行為が、不法行為に当たるのかをきちんと認識した上で、適切な督促を実施しましょう。
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