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不動産の「おとり広告」

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不動産の「おとり広告」

不動産業界にいると一度は聞いたことのある「おとり広告」

おとり広告とは実際には取引できない物件の広告のことで、客寄せのために掲載されていることがほとんどで、近年では厳しく罰せられています。

インターネットからの集客が中心となっている現在、おとり広告は業界内で注意喚起されているにもかかわらず後を断ちません。

現在は特に悪質なケースを中心に罰則が科せられており、特におとり広告に対しては厳しく対処されています。


〈目次〉
不動産の「おとり広告」とは集客手段
不動産おとり広告の多くはインターネット
 不動産ポータルサイトを抜き打ち調査
 違反した不動産会社は公取協通信に掲載
不動産における「おとり広告」以外の違反事例
不動産広告の適正化


不動産の「おとり広告」とは集客手段

おとり広告」とは、実際に取引ができない物件を掲載して(おとりにして)客引きを行う行為です。


おとり広告は「不動産の表示に関する公正競争規約」の第21条で禁止されています。



(第2節 おとり広告)


第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。


(1)物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示


(2)物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示


(3)物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示


出典:不動産公正取引協議会連合会 不動産の表示に関する公正競争規約 


架空の物件、売却済みの物件、売主に取引の意思がない物件などの広告はすべておとり広告に当たります。


要するに、既に募集が終了している物件や架空の物件をインターネット上に出して客を引く悪徳不動産屋の広告です。


【おとり広告の例】

・物件は契約済みで、取引できないにもかかわらず、新規に広告し、8年7 か月以上もの長期間継続して広告。


・賃料(管理費)5.9万円(6,000円)と2ヶ月半にわたり広告しているが、広告後に、賃料7万円、管理費3,000円で賃貸借契約を結んでおり、実際には、表示の賃料で取引する意思がなかった。


・物件が存在しないにもかかわらず、自社の管理物件を基に賃料、面積、間取り等を改ざんし、広告を掲載。


そのような広告を出すことは宅地建物取引業法に違反し、また、不動産公正取引協議会の不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)で禁止されています。


また、インターネット広告において、成約済み物件を広告の更新予定日を過ぎても削除せず、サイト上に掲載し続けることもおとり広告としてみなされることになります。


意図的におこなったものか、たまたま成約済物件がポータルサイトに掲載されていたのかわかりませんが、おとり広告であることに違いはありません。



不動産おとり広告の多くはインターネット

不動産ポータルサイトを調査


おとり広告は一般消費者だけでなく、不動産事業者にとっても迷惑な存在です。


規約違反とされた広告媒体の9割がインターネット広告、そのうちの4分の3が不動産ポータルサイトに掲載されています。


嘘の広告や、架空の物件情報、成約済の人気物件をそのままポータルサイトに掲載していては、消費者はそのおとり広告につられて問い合わせをしてしまいます。


おとり広告に対する罰則は厳しくなっており、おとり広告を掲載した不動産事業者への広告停止処分(最低1ヶ月)は2017年1月から始まっています。


首都圏などの不動産業者が加盟する「首都圏不動産公正取引協議会」から厳重警告・違約金の措置を受けた不動産事業者は不動産情報を取り扱うポータルサイト(SUUMO、LIFULL HOME’S、at home、CHINTAIなど)の広告掲載ができなくなりました。


さらに、過去に公取協から厳重警告・違約金の措置などを受けた不動産事業者への抜き打ち調査も行われました。


不動産公正取引協議会と不動産ポータルサイトが連携して、おとり広告を無くそうという動きが高まっています。


違反した不動産会社は公取協通信に掲載


おとり広告を出すことは、宅地建物取引業法に違反し、また、不動産公正取引協議会の不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)で禁止されています。


規約違反で厳重警告や違約金の罰則を科せられた不動産会社は首都圏不動産公正取引協議会が発行する「公取協通信」という毎月発行される会報誌に掲載されているのです(首都圏のみ)。


不動産における「おとり広告」以外の違反事例

おとり広告以外の不動産広告における違反事例としては以下があります。


【おとり広告以外の違反事例】

・契約期間6年の定期建物賃貸借である旨不記載。

(定期建物賃貸借物件を広告する場合には、その旨と契約期間の記載が必要です。)


・角住戸と記載→角住戸ではない

 2面採光と記載→採光は1面しかない

(不当表示に該当します。)


・私道負担面積不記載

(私道負担部分がある場合は、その旨と面積の記載が必要です。)


・建物をリフォームしたことを表示する場合には、リフォームの内容び時期を記載する

(例:2020年5月水回り全交換、フローリング・ クロス張り替え済み)



少数派ですが、「取引内容の不当表示」のなかでも専有面積を大きく見せたり、駅からの所要時間を明らかに短くしたりといった悪質なものも存在します。


まとめ

インターネットからの集客が大半を占めている現在、不動産事業者への広告停止処分(最低1ヶ月)はおとり広告の抑止力となっています。


全てのおとり広告を排除することは厳しいかもしれませんが、これを機に不動産広告の適正化をより一層進めていく必要があるかもしれません。



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