賃貸管理でよくあるクレーム・トラブル6選
2020.06.25
不動産業界で働いていると多くの住宅用語や法律用語などの専門用語を耳にします。
「不動産業界に就職したものの業界用語を覚えるのは大変‥」
「専門用語はなんだか難しいイメージ‥」
などと感じる新入社員も多いのではないでしょうか。
確かに、不動産業界は専門的な知識が必要なので、理解しにくく難しい言葉が多く存在します。
しかし、不動産業界にいる限り、業界用語を知っていて損はありません!
そこで今回は不動産業界でよく使われている基本用語に関してまとめましたので、不安を抱える新入社員の方は是非参考にしてください!
まずは、よく聞く単語や、これだけは覚えておきたい基本用語を紹介します。
基本的な不動産用語としてしっかりと理解しましょう。
不動産業界において、アパートなどの部屋を他人に貸し出すこと、または貸し出す物件そのもののことを「賃貸」といいます。
大家さんと入居者とが結ぶ契約は「賃貸借契約」と呼ばれています。
不動産とは、土地および土地に定着している物(建物や立木など)のことを指し、不動産投資とは「不動産を購入して運用し、家賃収入や売却益を得る」投資方法をいいます。
物出し(ぶつだし)とは、お客様から要望を聞き、希望の条件に合う物件を探し出すことです。
お客様にとっては物件の比較がしやすくなりますが、不動産会社の営業マンにとっては少し手間のかかる作業です。
物確とは「物件確認」の略称です。
売り出し物件がまだ売り出し中かどうかを仲介業者が貸主や管理会社に確認する業務です。
物件情報はリアルタイムで更新されていくため、必ずしも希望の物件が空いているとは限りません。
お客様から契約や購入したいという意思表示があれば、その場で改めて確認するのが通例です。
部屋の間取り表示によく使われているLDK。
「L」はリビング、「D」はダイニング、「K」はキッチンを表します。
「LDK」は、「リビング・ダイニング・キッチン」の3つの空間をまとめた部屋のことを表し、「DK」はLDKからリビングを抜いた「ダイニング・キッチン」を意味しています。
納戸とは、収納専用スペースを表しています。
人が入って歩き回ることができる程度の広さではあるものの、建築基準法上、採光・換気の面で居室とは認められていないスペースです。
間取り図上では「S(サービスルーム)」と表記されることもあります。
建ぺい率とは、敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合」を指します。
建ぺい率は下記の計算式で算出できます。
建ぺい率(%)=(建築面積(㎡)÷敷地面積(㎡))×100
容積率とは敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。
延べ床面積とは、建物のすべての階の床面積を合計した面積を表します。
建ぺい率が平面的な広さの上限であるのに対して、容積率は敷地面積に対する三次元空間に対する割合のことを言います。
容積率は下記の計算式で算出できます。
容積率(%)=(延べ床面積(㎡)÷敷地面積(㎡))×100
接道義務とは、都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として幅員4m(特定行政庁が幅員6m以上を道路として取り扱う区域は6m以上)の建築基準法上の道路に、2m以上接した敷地(土地)でなければならないと定めています。
そのため1つの土地を分割して販売する場合などでは、道路から離れた奥まった土地の一部を敷地延長させ、ギリギリ2mだけ道路に接するようにしているケースが多く見られます。
また、旧市街地内の土地を購入する際に多いのは、敷地に接している道路の幅が4mに満たないケースである。
この場合は、道路の中心線から2m敷地の縁を後退させなければなりません。
これを「セットバック」といいます。
〈参考〉TATSUJIN JOURNAL:道路幅員の正しい計測方法と知っておくべきポイント
再建築不可物件とは、建築基準法の接道義務を満たしておらず、建物を建て替えることができない土地のことです。
四方を他人所有の土地に囲まれていて、接道義務に則していない建物は建替えまたは増築することができません。
再建築不可物件は取得費用が安い等のメリットがあるものの、建て替えができない、住宅ローンを借りられない等のデメリットもあります。
物件情報で「告知事項有り」と記載されているものがあります。
この場合は入居者へ伝える義務がある事項がある物件だということになります。
宅地建物取引業法第35条では、物件の契約の意思決定をするうえで重要な判断材料については、契約が成立するまでの間に購入者や借主などに対して書面などで説明しなければならないと定めています。
告知義務が発生する内容としては、死亡事故(自殺・他殺・病死など)があった場合や、事件や事故があった場合、近隣に騒音や異臭などを発する嫌悪施設があるといったものが挙げられます。
基準地価(基準地標準価格)とは、国土交通省が毎年9月下旬に発表する公的な土地価格の1つです。
毎年7月1日を基準日として、各都道府県知事が選んだ基準地を調査し、1平方メートルあたりの標準価格を決定します。
開発した宅地を分譲する際に、同時に宅地の購入者がその宅地に建設する住宅を分譲事業者に発注する方法で建てられた住宅をいいます。
そのため、売建住宅は土地を選んだ後に新築を建てるという点では注文住宅と同じですが、建物を建てる会社があらかじめ決められています。
自分でハウスメーカーや設計事務所などを選ぶことができず、土地を売っている不動産会社が施工会社を指定します。
「建売」とは、すでに新築の住宅が建っている土地を、建物も含めて販売する取引のことを指します。
既に、建築確認を取得した建物を購入するので、注文住宅のように自由設計はできません。
手付金とは、売買契約において契約が成立することを前提とし、売主に対して取引金額の一部を契約締結時に現金で支払う費用です。
買主側から売買契約をキャンセルした場合、手付金は戻ってきません。
このように解約手付としても扱われているため、売買契約の保証金としての役割ももっているといえるでしょう。
手付金の金額は法律では決められていませんが、通常売買代金の10%前後が一般的です。
申込金とは、「他に申し込みがあった場合に優先的に入居審査をしてもらう」などの目的で、不動産会社などに支払うお金です。
申込金を支払っても、必ず契約が結ばれるというわけではありませんが他の希望者よりも優先的に物件の購入・入居が可能となります。
手付金との違いは、申込金は申込みを撤回する場合に返金されます。
居抜き物件とは、店舗や工場など、前のテナントの設備・家具・調度などを残したまま、売り渡したり貸したりすることをいいます。
前のテナントが使用していた調理設備や椅子、テーブルなどの家具をはじめ、壁や天井の内装、カウンターや造り付けの棚などの造作が残っている物件のことです。
金消契約とは金銭消費貸借契約(きんせんしょうひたいしゃくけいやく)の略語です。
住宅や物件の購入の際に、銀行からローンの借り入れを行う時に締結する契約を指します。
フラット35とは民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して出来た長期固定金利の住宅ローンのことを指します。
返済期間は15年~35年、固定金利型の住宅ローンとなりますが、金利・手数料は金融機関によって異なります。
「ローン特約」とは、不動産を購入する際の住宅ローン審査に通らなかった場合に、売買契約を無条件で白紙に戻すことができるという内容の特約です。
通常は、支払い済みの手付金は返還されず、場合によっては違約金が発生することもありますが、ローンが不成立だった場合、不動産売買契約そのものを解除して、契約を白紙に戻すことが可能となります。
この場合、手付解除や契約違反といった契約解除にあたっての条件は適用されません。
瑕疵担保責任とは、傷物(欠陥品)を売ったり作ったりしたときに負うことになる責任のことをいいます。
2020年の民法改正により、「契約不適合責任」に置き換わり、住宅の種類や品質において契約不適合が見つかった場合には、買主はその発見から1年以内に売主へ通知する必要があります。
物件の売買や賃貸の契約が成立した際に、売主と買主(または貸主と借主)の双方から手数料を取ることを言います。
「両手」とは反対に売主、買主(または貸主と借主)のどちらか一方のみからしか手数料を取れないことを言います。
個人属性とは、「融資を申し込む方の勤務先、年収などの社会的、そして経済的背景」のことを言います。
具体的には年齢、勤務先、勤続年数、勤務先の規模、年収、現在の家の居住年数、形態、配偶者の有無など、本当にその人に融資してもよいのか、限度額はいくらにするのかを金融機関が判断する際のポイントとなります。
「個信」とは個人の信用情報のことを指し、不動産業界ではおもに個人信用情報機関に確認するときに使われます。
個人信用情報機関とは、加盟会社から登録されている個人の信用情報を管理・提供する団体です。
住宅ローンの融資元である金融機関が、ローン申請者の信用情報を確認することで、過剰貸付などを予防することができます。
飛ばしとは不動産業界で複数の意味で使われます。
一つ目は「お客様だけで物件に行かせること」
不動産業者の同伴なしにお客様をマンションやアパートへ飛ばすことから「飛ばし」と言われます。
勝手に物件を見て、勝手に決めてもらって、手数料はきっちり頂く。
この飛ばし行為はトラブルに発展しやすく、良い行為とはされません。
もう一つは「不動産仲介業者を飛ばす」意味として使用されます。
【飛ばし行為の例】
①A社へ行き物件を紹介してもらい、その後B社へ行き同様の物件を契約する
②A社へ行き物件の内見をし、その後B社へ行き同様の物件を契約
など、初めに物件を紹介してもらった仲介業者から情報を得て、他の不動産業者へ依頼したり直接売主に交渉しにいくこと「飛ばし」行為と言います。
直接、売主に契約をして仲介手数料の支払いを免れようとする事を「飛ばし」や「仲介業者飛ばし」などと言われています。
〈参考〉TATSUJIN JOURNAL:不動産業界の3大タブー行為、違反行為
メーターボックスの略称です。
マンションやアパートの物件に取り付けられた水道メーターやガスメーターなどを格納したボックスで、物件の間取り図内では「MB」の表記で示されています。
パイプスペースの略称です。
給排水管やガス管などが通るスペースのことで、物件の間取り図内では「PS」の表記で示されています。
重説とは重要事項説明書の略称です。
物件の所在地や面積、現在の状況、法令上の制限の有無、取引価格などが記載されている重要な書類で、宅建業法により、不動産会社は契約締結前に、顧客に対して重要事項説明書の説明・交付が義務付けられています。
重要事項説明書の説明を行うには、宅地建物取引士の資格を所有している必要があり、実際の説明時には顧客に対して証明書を提示したうえで、重要事項説明を行います。
宅建や宅建士は「宅地建物取引士」の略称で、毎年20万人前後の受験者数を誇る最大規模の国家資格です。
お客様が不当な契約を結んでしまうことがないよう、お客様が知っておくべき事項(重要事項)を説明するのが宅建士の仕事です。
宅地建物取引業者が宅地建物の取引の際に行わなければならない3つの業務があり、これらはいずれも宅地建物取引士でなければできない「独占業務」として法律で決められています。(下記参照)
・契約締結前に行う重要事項の説明
不動産を取得しようとする人(買主)、借りようとする人(借主)などに「所有者は誰か」「不動産はどのくらいの広さなのか」「登記のこと」「手付金やキャンセルした際の取り決め」など、物件や取引条件に関するさまざまな情報を、契約する「前」に説明します。
これが「重要事項の説明」です。この説明事項が記載された書面を重要事項説明書といい、不動産取引においてトラブルが発生することを防ぐため、必ず宅建士が説明することになっています。
・重要事項説明書面(35条書面)への記名押印
重要事項の説明の内容はきわめて広範囲にわたるため、口頭の説明のみで理解することは簡単ではありません。
そこで、説明内容を記載した書面(重要事項説明書/35条書面)を作成・交付。この書面には、「記載の内容に責任を持つ」という意味で、宅地建物取引士が名前を書いて押印します。
この記名と押印をもって、重要事項を説明したという事実の証明になります。
不動産取引における重要書類に記名と押印ができるのも、宅建士のみに許された仕事です。
・契約内容を記した書面(37条書面)への記名押印
実際に行った取引について、契約に関わる重要な部分が書かれた書面を「37条書面」と言います。
重要事項の説明が終わり、不動産の取引が成立したら、契約書を作成することになります。
契約に関するトラブルを防ぐためにも、きわめて重要な書面です。
この契約書が不動産取引をしたことの証明となりますが、契約書への記名と押印も宅建士のみができる仕事です。
〈参考〉TATSUJIN JOURNAL:宅地建物取引士(宅建士)とは?
不動産営業マンの営業手法で、一度契約した客にさらに営業をかけることを言います。
新しい物件を提案したり、契約した物件に不備はないか確認を行います。
そこから、さらに取引に繋げたり、新たな顧客を紹介してもらうことが目的です。
賃貸仲介の場合であれば借主探しをオーナーから直接依頼された不動産業者のことを言います。
売買仲介の場合であれば、買主探しを売主さんから直接受けた不動産業者のことを元付け業者と言います。
客付業者とは、不動産物件を買ったり借りたりするお客さんを見つける不動産業者のことを言います。
買主(借主)とオーナーを引き合わせ契約締結をし、買主(借主)から仲介手数料を得ます。
青田売りとは、造成工事や建築工事が完了していないのに、宅地や建物の販売などをすることを指します。
未完成販売ともいいます。
広告した物件以外のものを購入するように誘導するいわゆる客寄せ広告のことを指します。
価格を著しく安く表示することが多いです。
おとり広告としては下記のようなものがあげられます。
・実際には物件が存在しない
・架空広告売却済み又は他人の物件を無断で広告するもの
・物件はあるが広告主がこれを販売する意思をもっていないもの
これらのおとり広告は宅地建物取引業法32条違反とされ、また、不動産の表示に関する公正競争規約21条により禁止されています。
事故物件とは一般的に、過去に死亡事故が生じた物件のことを指します。
他殺・自殺・病死のほか、火災で死亡者が出た場合、階段からの転落死などの場合も事故物件になります。
事故物件を売買・賃貸する場合は告知義務があります。
2021年に国土交通省が示した「宅地建物取引業者による人の死に関する 心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)」によると、殺人・自殺・火災による死亡・特殊清掃が行われた場合の孤独死については告知義務がある一方、病死・老衰死・転倒による事故死・死亡から日数が経たず発見された孤独死などの場合には告知義務はない旨が明記されています。
エンドユーザーとは、ある製品を実際に使ったり消費したりする人や組織のこと表します。
不動産業界においてのエンドユーザーは、不動産業界においては不動産を購入する人のことを指します。
天ぷら契約はキャンセルを前提にした契約締結を指す言葉です。
実際に、契約が取れているわけではなく、契約の中身がないことを指します。
旗竿地とは、道路に接している出入り口部分が細長くなっていて、その奥にまとまった敷地がある土地のことを指します。竿につけた旗のような形状をしていることから旗竿地と呼ばれています。
旗竿地は特殊な形状をしている為、周辺の土地と比較して2~3割程度安く購入できる可能性があります。
不動産業界用語には、略語が使われるものが多く、略語で会話を行うことも多々あります。
そこでよく使われる略語を下記にまとめました。
・共担(共同担保)
・金消(金銭消費貸借契約)
・現調(現地調査)
・建確(建築確認、建築確認通知書)
・検済(建物検査済証)
・公取(公正取引委員会)
・公取協(公正取引協議会)
・広宣(広告宣伝費)
・重説(重要事項説明)
・物確(物件確認)
・物説(物件説明書)
・売契(不動産売買契約書・土地建物売買契約書)
・宅建(宅地建物取引士)
不動産業界でよく使われる不動産用語の基本を紹介しました。
不動産業界には多くの難しい専門用語がありますが、成約に結びつけるためは分かりやすくお客様に伝えることも重要になります。
まずは不動産業界では一般的な基本の用語から覚えていきましょう。
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