賃貸管理でよくあるクレーム・トラブル6選
2020.06.25
全国630店舗以上の加盟店舗数を誇る日本最大の賃貸リノベーションブランド「Renota (リノッタ)」。
日本最大の賃貸リノベーションネットワーク「Renotta」が毎月お届けする賃貸オーナー様向けwebセミナーでは、賃貸リノベーションの成功事例を中心にお話しています。
その中で「失敗事例も聞きたい!」と言う要望を受け、今回は、賃貸経営における投資判断のコツをお伝えするとともに、しくじり事例を解説させて頂きます。
私たちが、賃貸リノベーションネットワーク「Renotta」を始めた理由はシンプルです。
「Renotta」を始める前は築年数を経過したお部屋には家賃を下げる提案しか出来ませんでした。
それでは家賃が下がる一方…有効手段はないのでしょうか。
この問題を解決するために、「Renotta」を開始し、日本全国に一戸一絵の個性豊かなお部屋を提供しています。
物件データ | |
構造 | 鉄骨造 |
竣工年 | 1991年4月(築31年) |
総戸数 | 24戸 |
階建 | 4階建て |
賃料 | 34,000〜37,000円 |
石川県金沢市、金沢駅より2〜3km離れた場所に位置する物件。
全てのお部屋が1K・7帖です。
間取りもシンプルで、デザインは可もなく、不可もなく一般的な物件です。
デメリットは築古物件にありがちなトイレの薄いピンク色と古い浴室でした。
どうしても、薄いピンクや水色のトイレは古いイメージがありますよね。
水回りは清潔感が大切ですので、劣化や黄ばみはマイナスポイントとなってしまいます。
浴室は、多少の劣化はあるものの、クリーニングで綺麗になる程度で、一見問題ないように思いました。
ですので、間取りの変更はなし、改修するポイントとしてはデザインや床材の変更、あとは小さな設備の交換を行いました。
クロスはシックにまとめ、室内はラグジュアリーな雰囲気に一変。
8年前にリノベーションしたお部屋ですが、家賃は11,000円アップしたものの、稼働率は77%、満足する合格点には至りませんでした。
リノベーションの問題点は‥?
同じ間取りで異なるデザインを施した他のお部屋の稼働率はなんと99%!
デザインが良くなかったから?
いいえ、決定的な違いは浴室にありました。
大きな問題はなく、水栓交換のみで終わらせた浴室ですが、全24戸中の13室は他の改修をしていたのです。
無駄なキャビネットを外し、大きな鏡を付け木目調のアクセントクロスを採用、これだけで高級感が増し、グレードアップされたような印象を抱きます。
◉しくじり解説!
デザイン・設備・家賃のバランスが大切だということです。
「luxury life」を謳っているにも関わらず、浴室の配慮が足りていませんでした。
例えば、最新設備でしっかりと揃えているお部屋でも、洋室がボロボロだと人気は出ません。
もちろんデザインだけ良くてもいけません。
しっかりとしたバランスが大切ですね。
リノッタではお部屋のデザインを最重要ポイントの一つとして挙げさせていただいています。
しかし、「こんな変わったデザインで結果が出るの?」「こんなオシャレにして意味あるの?」という厳しいお言葉をいただくこともあります。
今回のしくじり事例で、「デザインでどれだけ差がつくのか」というところも見ていただければと思います。
物件データ | |
構造 | RC造 |
竣工年 | 1973年6月(築48年) |
総戸数 | 60戸 |
階建 | 5階建て×2棟 |
賃料 | 30,000〜34,000円 |
舞台は石川県の県営団地です。
間取りはすべて3LDK、老朽化も進んでいました。
洋室の設備は古く、畳の張り替えも必要、水回りはカビだらけの状態でしたので、このまま原状回復を行っても高額な費用がかかる上に家賃は上がりません。
そこで、リノベーションを行い、家賃を上げる、そして稼働率を上げようという判断をしました。
思い切って広々した25帖のワンルームに間取りを変更、アクセントカラーを取り入れたデザイン性のあるお部屋になりました。
フォトステを加えて家具を置くと、暮らしのイメージが付きやすいですよね。
元々、RC造なので、あえて壁面や床はコンクリート丸出しにしました。
こちらの物件では、同じ間取り、同じ手法の部屋を多く作りました。
あえてアクセントになる色を変えて、選べる幅を増やしました。
リノベーションして8年経った稼働率は79%!
元々、稼働率が低いお部屋でしたので、家賃を上げて稼働率が79%あれば、良い投資利回りにはなりますが、こちらも合格点ではありません。
リノベーションの問題点は‥?
先程も言いましたが、こちらの物件は、同じ間取り、同じ手法の部屋を多く作りました。
アクセントカラーは、青・黄色・赤など様々です。
このアクセントカラーで稼働率がグッと変わったのです。
カラー | 稼働率 |
青色 | 79% |
黄色 | 84% |
赤色 | 49% |
8年間の稼働率ですが、色によってこんなにも違うのかと驚きました。
ただ、物件はまだまだ長生きしますので、問題箇所をしっかりと改修していけば稼働率が上がる可能性は十分あります。
リノベーションは施工して終わりではなく、随時経過を見て、お客様に気に入っていただけるかどうかを見て改修していくことだと思います。
◉しくじり解説!
どうして、赤色のお部屋だけ稼働率がグッと下がったのでしょうか。
それは「赤と黒の相性が悪い!」これに尽きるかと思います。
これは色の話になりますが、赤色×黒色は攻撃的な色の組み合わせに見えてしまいます。
やはりお部屋は快適さや心地よさが求められるので、攻撃的な色は好まれません。
他の色のお部屋も、赤色のお部屋よりは良いものの、満足の行く稼働率ではありませんでしたね。
こちらのお部屋のコンセプトは「antique material」。
ヴィンテージ素材を意識したコンセプトとなっています。
「antique material」には、はっきりとした色味のカラークロスが合っていないのではないか、と思いました。
カラークロス(アクセントクロス)には「お部屋を華やかにする」「白色の余白を綺麗に魅せる」と言う効果があります。
しかし、ヴィンテージの質感を残したお部屋にカラークロスを中途半端に使用してしまうと、古い箇所が目立ってしまうのです。
ヴィンテージの良さを生かし、コンセプトを見失わずにデザインすることが大切だと学びました。
上記と同じ県営団地ですが、別のお部屋のリノベーションをご紹介します。
究極のヴィンテージを追求したお部屋とも言えるのではないでしょうか。
コンクリート剥き出しの広い1Rを楽しんでいただくために、基本工事は解体工事のみとなりました。
そして、お客様に自由にインテリアを楽しんでいただくために、木製のパレットをいくつも置きました。
このパレットの使い方はお客様次第です。
インテリア上級者向けのお部屋にはなりますが、ハマる方には堪らないお部屋となっています。
なんと稼働率は驚異の97%!
◉古い団地をどう活かす?
お部屋を作るときに、どのような方向でいけば良いか、ここをしっかりと模索する必要があります。
お部屋の広さや間取り、状態を見て高級感を出すのか、ヴィンテージ感を出すか、それとも可愛らしさを引き出すのか、方法は無限にありますが、一番合う方法で導かなければなりません。
今回のお部屋、「TRANSFORM LIFE」はヴィンテージ感がぴったりとハマったといえるのではないでしょうか。
リノベーションで人気物件に変身するにはお部屋をしっかりを「分析」する必要があります。
雑誌などで見たデザインを私のお部屋に入れてみようと思っても、少し無理があります。
なぜかと言うと、お部屋の状態によって進むべき道は違うからです。
築古のヴィンテージ物件に高級感を出そうと思っても無理があります。
最適な提案が行えるよう、お部屋を細かく分析し、どのような方法が良いか「戦略」を立ててオーナーに提案させていただいています。
当然、立地も違いますし、設備や間取り、抱えている課題も違います。
ですので、進むべき道は無限にあり、当然ですが出来上がるお部屋も違ってくるのです。
正しいリノベーション、正しい空室対策を行う上で必要なポイントは下記になります。
・お部屋の現状を把握する
・デザイン、設備、家賃のバランスをとる
・お部屋の目指す方向性をしっかりと決める
しっかりと分析をし、戦略を立てても中には上手くいかないお部屋もあります。
しかし、それを見過ごすわけではなく、経過を見て細かな手直しを行うことで高稼働に動く可能性は十分にあります。
ただ、改修を行うわけではなく、上手くいかなかった場合にはどこに問題があるか、しっかりと見て追加提案もさせていただいています。
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