賃貸管理でよくあるクレーム・トラブル6選
2020.06.25
2021年末近くになり世界的に拡大の様相を見せた新型コロナウイルスのオミクロン株。
2022年は不動産業界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
また国内では生産緑地の指定解除によって「2022年問題」が浮上しています。
「生産緑地の2022年問題」についてご存じですか?
この「2022年問題」、知っている人は全体の約1割程度しかおらず、残りの約9割の人は知らないということがわかりました。
本記事では、生産緑地の2022年問題とは何かをわかりやすくお伝えします。
まず、生産緑地とは1992年に生産緑地法で定められた土地制度の1つです。
都市部で農業を継続したいという要請と緑地確保の必要性から、農地等を緑地として計画的に残すための法律で、1974(昭和49)年に制定されました(改正生産緑地法は1992年)。
簡単に言うと「最低30年は農地・緑地として土地を維持する代わりに税制優遇を受けられる」ものです。
生産緑地法の定義は以下とされています。
✔︎良好な生活環境の確保に相当の効用があること
✔︎公共施設等の敷地として適していること
✔︎農林漁業の継続が可能であること
✔︎500m2以上(2017年改正で300m2)の規模であること
生産緑地に指定されると宅地化ができなくなる代わりに、以下の優遇制度があります。
・30年の営農義務
・相続税の納税猶予
・固定資産税の優遇
「2022年問題」とは、簡潔に言うと、生産緑地の8割が2022年に指定解除となり、都市部にある農地(生産緑地)が宅地として大量に市場に供給されるという問題です。
生産緑地の指定を受けた土地は30年間農地としての保全義務がありますが、2022年に多くの生産緑地がこの30年を終えます。
これにより生産緑地の大部分が一気に宅地化される可能性があります。 これに伴い懸念される問題を2022年問題といいます。
2022年問題を緩和するための措置として、国は次のような対策をとっています。
政府は2017年に生産緑地法を改正し、生産緑地の一部を「特定生産緑地」として税制優遇措置を10年間延長することを決定しました。
すでに生産緑地に指定されている農地・山林であれば、30年を経過するまえまでに、新たに「特定生産緑地」に指定されると、10年間の延長となり税制優遇を引き続き受けられます。
また、特定生産緑地は10年毎の更新制で繰り返しの延長が可能です。
これからも農業を継続する意向がある人や、貸し農地としての活用を考えている人に適しています。
ただし、「特定生産緑地」の指定を受けられるのは、生産緑地の指定が解除される前に限られます。
30年を過ぎ、生産緑地の指定が解除された場合は延長を申請しても受け付けることはできません。
これまで生産緑地では農業用施設のみ建築が許されていました。
しかし、これでは所有者が生産緑地を使って収益を得ることが難しい状況にありました。
こうした背景から、農産物の直売所やレストラン、農産物を加工するための専用施設などの建築が可能になりました。
生産緑地の指定を受けるには、従来500㎡以上のまとまった農地であることが要件とされていました。
しかし、市区町村の条例により、この下限面積を300㎡まで引き下げることができるよう改正されています。
これは、宅地需要の沈静化による住民の認識の変化に対応し、また500㎡に満たない農地も生産緑地として保全すること等を目的として行われた改正です。
上記で説明したように、宅地に転用しての活用や売却が一斉にされた場合、宅地の過剰供給が発生して地価が下がってしまう可能性があります。
指定が解除された全ての農地が宅地に転用されることは考えられにくいですが、通常よりも土地の供給は増える見込みです。
さらに土地を早く売りたいと考える人が増えると、値下げ競争が起こる可能性があります。
生産緑地の指定解除後、土地所有者は原則として市町村に土地の買取を依頼するか、不動産会社などを通じて第三者に売却を依頼することになります。
多くの土地が市場に出回ることになりますので、数年後には購入された土地に多くの新築マンションが建てられる可能性があります。
したがって、周辺の中古マンション・中古物件が売れにくくなる可能性があるのです。
不動産業界や農業関係者の間で話題の2022年問題ですが、わかりやすく解説しました。
都市部だけの問題であると思いがちですが、不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「生産緑地法」という項目がありますので、是非知っておきたい事柄です。