賃貸管理でよくあるクレーム・トラブル6選
2020.06.25
不動産会社に新しく入社した人からしてみると不動産は専門知識も多く、わからない用語が多くて難しいと思われるかもしれません。
しかし、業務をする上では確実に理解しておく必要があります。
今回は、そんな不動産業界の業界用語の中でも「契約」「法律」関係のよく使われる用語についてまとめてみました。
不動産広告における宅地建物取引業者の立場のことを指す用語です。
不動産の広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」によれば、不動産広告を行なう際には、不動産会社の取引態様が「売主」「貸主」「媒介」「代理」のどれに該当するかを明確に表示しなければならないとされています。
・媒介・・・宅地建物取引業上の媒介とは、取引態様のひとつであり当事者の一方又は双方の依頼により、宅地建物の売買や賃貸借の契約の成立に向けて尽力する行為をいいます。
・代理・・・宅地建物取引業者が売買取引、交換取引、賃貸借取引において売主または貸主の代理人や買主または借主の代理人となって活動し、取引きを成立させるものです。
宅地建物の売買・交換、貸借の仲介を、宅地建物取引業者に依頼する契約をいいます。
宅地建物取引業者は媒介契約を締結したときは、後日、媒介契約の存否、内容、報酬等をめぐって紛争等が生ずるのを防ぐために遅滞なく一定の契約内容を記載した書面を作成し依頼者に交付しなければいけません(宅地建物取引業法34条の2)。
なお、媒介契約には一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。
・一般媒介契約・・・依頼者が「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて媒介を依頼することが原則的に自由な媒介契約です。依頼者自身が、自分の力で取引の相手を発見し、直接契約することも可能です。
・専任媒介契約・・・依頼者は他の宅地建物取引業者に重ねて媒介や代理を依頼することが禁止されます。
・専属専任媒介契約・・・依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて媒介や代理を依頼することが禁じられます。依頼者は自分で発見した相手とも売買または交換の契約をすることができません(媒介を依頼した宅建業者が探索した相手方以外とは契約ができない)。
当事者の一方が、相手方にある物の使用・収益をさせることを約束し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約束することによって成立する契約を言います(民法601条)。
民法上、賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない(同法604条)とされていますが、建物所有を目的とした土地の賃貸借では、長期の契約期間を必要とするので、借地借家法の規定が優先され存続期間は30年以上とされています。(借地借家法3条)。
また、民法上は土地又は建物の賃借権は、それを登記しないと第三者に対抗(主張)できませんが、借地借家法10条1項は、借地上の建物を登記すれば借地権を、同法31条1項は、建物の引渡しがあれば、借家権を第三者に対抗できるものとされています。
宅地建物取引業法に基づき宅地建物取引業者は、売買契約(割賦販売を含む)・賃貸借契約の締結に先立って買主・借主に対して一定の契約上の重要な事項について重要事項説明書を交付し、宅地建物取引主任者から説明させなければいけません(同法35条1項、2項)。
なお、説明をするときには、買主・借主に対して宅地建物取引主任者証を提示しなければならず(同法35条3項)、重要事項説明書に記名押印しなければいけません(同法35条4項)。
宅建業者が不動産取引に関与して契約が成立した場合に、取引の当事者に交付しなければならない契約書のことです。
宅地建物取引業法の第37上においてこの書面の交付が義務付けられているため、37条書面と呼ばれます。
代金の額やその支払い方法、引き渡しの時期などの記載が必要となっており、また宅地建物取引士が記名押印しなければいけません。
予め契約書に記載されている条文以外の事項について特約する場合に書かれます。
契約は、法律で定められ絶対に守らなければならない規定(強行規定)と、契約書に記載しない事柄について法律が補充的に適用してくれる(任意規定)があります。
任意規定は当事者の合意があると排除できるため、この両者の合意によって新たに規定した条項を「特約」といいます。
特約を結ぶと以下のような利点があります。
・民法などが現代社会に合致しなくなっている場合に、これを排除できる
・後の争いになりそうな事項について、予め適切な規定を設けておくことで、争いの際の処理が用意になり、争い自体の予防になる
・個々の事情に最も適した形での契約を締結できる
用語の意味としては、賃貸借・雇用・委任・組合などのような継続的契約関係を契約当事者の一方の意思表示によって消滅させることをいいます。
契約の「解除」の場合はその効力は過去にさかのぼる(原状回復義務が生じる)のに対して、「解約」の場合は将来に向かってのみ効力が生じるとされています。
しかしながら、実務上は、「解除」と「解約」の区別は明確ではありません。
私法上の権利に関する一定の事項を第三者に公示するため、登記簿に記載することを指します。
権利の保護、取引の安全のために行われる。不動産登記・船舶登記・商業登記・法人登記などがあります。
不動産登記は、建物を新築した場合、不動産を相続や売買で購入した場合、融資を受けるために不動産に担保権(抵当権や根抵当権など)を設定する場合、ローンを完済したので担保権を消したい場合などに不動産の状況や権利関係を登記簿に公示するための一連の手続きをすることです。
また、商業・法人登記は、会社・法人等を設立する場合、役員の交代や任期が満了した場合、会社の本店や支店の設置・移転・廃止をする場合など、会社の内容に変更を生じたときに登記簿に公示するための一連の手続きをすることです。
登記をしておかないと当事者間で争いになったときに、「自分が所有者である。」と主張することができなかったり、商業登記は登記内容に変更が生じているにもかかわらず、変更登記を怠っていると、過料に処せられる場合があるので注意が必要です。
一棟の建物が構造上数個の建物に区分され独立して、住居、店舗、事務所、その他建物の用途に供することができる場合には、その区分された部分(専有部分)を目的とする所有権が認められています。
この所有権を区分所有権と呼びます。
専有部分の処分は自由ですが、敷地利用権を切り離すことはできません。
これは共用部分の持分も同様です。
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは、売買契約において、買主が売主から目的物の引渡しを受けたものの、目的物に隠れた瑕疵(かし)があったことが判明した場合、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約の目的を達することができないときは、買主は契約の解除をすることができることをいいます。
この条件を満たさないときは、損害賠償請求のみをすることができ(民法570条、566条)、これを売主の瑕疵担保責任といいます。
隠れた瑕疵とは、買主が通常の注意を払っても知り得ない瑕疵を指します。
売主が知らせない場合で、普通に注意を払っておいても気付かないようなものがこれに当たりますが、売主自身も知らなかったものも含みます。
賃貸借のアパート・マンション等を、借主が退去するとき、自分で備え付けたものは取り除いて、貸主に部屋を返す義務のことを指す不動産用語です。
原状回復義務について、借主がどこまで建物を原状に戻す義務を負うかに関してはさまざまな見解があります。
過去の裁判例では「通常の使用」の結果で、「故意・過失と考えられる」もの以外は、弁償したり修繕したりすることは、契約において特約がない場合には必要ないという傾向にあります。
ただし、借主は賃借物を「善良なる管理者の注意義務」を持って保管・使用する義務があるので、たとえばカーペットにタバコの火で焼け焦げを作ったなどという場合はこの義務に違反するとして損害賠償義務を負うことになります。
正確には「善良なる管理者の注意義務」のことで、民法400条の条文に由来します。
他人から借りたり預かったり管理を任されている受任者が受託した事務を処理するにあたり、職業上や社会通念上客観的に期待される程度の注意をもって取り扱うことを求められることを言います。
この注意を怠って損害が発生した場合には、債務不履行・不法行為等の責任を追及されることがあります。
誇大広告とは、実際以上に利点を強調している広告のことを指す用語です。
「値上がり確実」「高利回り間違いない」「最大規模」「最高級」など、客観的根拠がないにもかかわらずメリットを断定したり、「当社だけ」「格安」「今だけの厳選物件」など実際より有利であるかのように誤解させる表示で、宅建業法で禁止されています。
宅地と建物に関する誇大広告の禁止対象には、次のものが挙げられています。
所在地、規模、形質、現在または将来の利用の制限、現在または将来の環境、現在または将来の交通その他の利便、価格など
不動産会社で働いていく上で契約や法律は避けては通れないものであり、かつ間違えられない重要なものです。
用語を正しく理解し、業務の中で間違えないようにしていきましょう。
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