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不動産会社でのMA(マーケティングオートメーション)活用法とは?

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不動産会社でのMA(マーケティングオートメーション)活用法とは?

近年、不動産業界における営業・マーケティングの役割はますます重要性を増しています。

景気の変動に敏感なこの業界では、顧客ニーズが多様化し、買い手のデジタル化が進む中、従来の営業手法だけでなく、デジタルマーケティングやテクノロジーの活用が不可欠となっています。


特に、マーケティングオートメーション(MA)と呼ばれる自動化ツールの導入は、不動産会社にとって大きなメリットをもたらします。

MAは、売上の拡大や営業リソースの効率的な活用、業務の効率化をサポートし、営業活動をより効果的に行うための強力な手段となります。

本記事では、不動産業界の現状を踏まえながら、MAの基本と導入によるメリット、不動産会社が取り組むべきMA施策について詳しく解説していきます。


<目次>
不動産業界における営業・マーケティングの現状
 景気に影響を受けやすい
 顧客ニーズの多様化
 買い手のデジタル化
MA(マーケティングオートメーション)とは
不動産会社でMAを導入するメリット
 売上の拡大
 営業リソース不足の解消
 業務の効率化
不動産会社が取り組むべきMA施策
 メールマーケティングの自動化
 ウェブサイト訪問のトラッキング
 見込み顧客のスコアリング・フォロー
 セグメント別キャンペーン設定
まとめ


不動産業界における営業・マーケティングの現状

不動産業界は、土地や建物といった不動産を扱う国内でも有数の規模を誇る業界です。

この業界における営業・マーケティングの現状は、以下の通りです。


景気に影響を受けやすい

不動産市場は、他の産業と比較して経済状況に非常に敏感であり、景気の変動が売買および賃貸の需要に直接的な影響を与える特徴があります。

景気が上向きの時期には消費者の購買意欲が高まり、売買需要が増加する傾向がありますが、反対に、景気が低迷すると、消費者の購入意欲が減退し、売買活動が停滞しやすくなるため、不動産会社は売買や賃貸の成約に苦労することが多くなります。


特に、不動産業界においては金利の変動や政府の政策変更が市場動向に大きな影響を与えます。

金利が低下すると住宅ローンの負担が軽減されるため、住宅購入を希望する人が増える傾向にあります。

不動産売買市場が活発化し、不動産価格も上昇する場合があります。

しかし、金利が上昇した場合、住宅ローンの返済負担が増加するため、購入を見送る消費者が増え、売買需要が低下することが考えられます。

また、政府が行う住宅ローン減税や住宅取得支援策といった政策の変化も、消費者の不動産購入意欲に直接的な影響を及ぼします。

このような状況に対応するため、不動産業界では政策変更や市場動向をいち早く察知し、営業戦略を柔軟に調整する必要があります。 

各企業は競争の中で生き残るために、独自のサービスや特徴を打ち出し、差別化を図る必要があります。

物件のデジタル化やバーチャル内見といった最新技術の導入、顧客のライフスタイルに合わせた物件提案はもちろんですが、新しいマーケティング方法を活用するなど他社との差別化を図るための取り組みが必要です。 

経済状況や政策変更に対する迅速な対応力が、競争の激しい業界において成長を続けるための鍵となります。


顧客ニーズの多様化

不動産業界では、人口減少や高齢化、そしてライフスタイルの変化に伴い、顧客のニーズが急速に多様化しています。

少子高齢化が進む中で、従来の都市部での物件需要に加えて、新たに郊外や地方への移住を希望する人が増加しています。

都市部の人口密度や生活費の高さにより、より広い居住空間を求めて郊外に目を向ける人が多くなっているのです。


また、リモートワークやテレワークの普及により、仕事場所に縛られない生活スタイルが定着してきています。

通勤距離よりも住環境や広さを重視する人が増え、テレワークに適した部屋数や間取り、設備を備えた物件の需要が増加しています。

仕事専用のスペースを確保できる部屋や、高速インターネット回線、遮音性の高い環境などが求められるようになっています。


このような顧客の多様化するニーズに応えるため、不動産業界においては、ターゲット層の明確化がますます重要です。

単に「ファミリー層」や「単身者」といったカテゴリ分けだけでなく、個別のライフスタイルに合わせた物件提案が求められています。


買い手のデジタル化

インターネットやスマートフォンの普及に伴い、不動産購入に関する情報収集や物件の比較は、オンラインで行われるのが一般的になりました。

従来は、購入を希望する人が街の不動産会社を訪れ、営業担当者に相談しながら物件を選定するのが主流でした。

しかし、現在ではインターネットを活用することで、物件情報や市場価格、周辺環境、口コミなどの多くの情報を自ら収集し、不動産会社を比較検討することが可能となっています。


デジタル化の進展により、不動産会社は従来の営業スタイルを見直し、デジタルマーケティングを積極的に活用する戦略へとシフトしています。

具体的には、公式ウェブサイトの強化やSNSの活用、不動産ポータルサイトへの情報掲載を通じて、オンライン上での情報発信を増やし、顧客との接点を拡大しています。

また、顧客が物件の魅力を自宅からでも体感できるよう、バーチャル内見や3Dモデル、オンライン商談といったデジタルツールの導入も進んでいます。

これにより、遠方にいる顧客や忙しい顧客に対しても柔軟に対応できるようになり、顧客体験の向上が図られています。


このような状況下で他社と差別化を図るためには、単に物件情報を発信するだけでなく、インターネット上で顧客に選ばれるための施策が求められます。

SEO対策やコンテンツマーケティング、SNSでのブランドイメージ強化など、幅広いデジタル戦略を通じて、不動産会社としての信頼性を高め、顧客に選ばれる存在になることが重要です。


MA(マーケティングオートメーション)とは

MA(マーケティングオートメーション)は、営業・マーケティング活動を自動化し、収益プロセス全体の効果を測定することで、顧客との関係を構築しながら収益向上を図るプラットフォームです。

簡単に言えば、効率的に見込み商談を創出し、確度の高い商談を営業チームに提供するためのシステムです。

このシステムを活用することで、マーケティング活動全般の効率化が実現できます。


MAを構築するには、以下の3つの重要な要素が必要です。

1. 顧客データベースの構築

顧客の個人情報や行動履歴、興味・関心といった情報を収集し、整理・蓄積するためのデータベースが必要です。

このデータベースにより、顧客の属性や購買行動を分析し、ターゲットのニーズに合ったアプローチが可能になります。


2. 分析機能

マーケティングおよび営業活動の成果を分析し、施策の効果を測定する機能が求められます。

この機能により、マーケティング施策がどの程度の成果を上げているのか、どの施策が収益に直結しているかを把握し、改善ポイントを明確にすることが可能です。


3. 自動化機能

マーケティングや営業施策を効率よく実行するための自動化機能も重要です。

具体的には、見込み顧客の段階に応じたメール配信やリードナーチャリング(見込み客育成)などを自動的に行うことで、営業担当者が注力すべき商談を優先的に渡すことができます。

これにより、リードのフォローアップや顧客対応がより迅速かつ効果的に行われるようになります。


MAは、見込み顧客の興味やニーズに応じた対応を効率よく実施し、営業プロセス全体のスムーズな流れを実現するために欠かせないプラットフォームです。


不動産会社でMAを導入するメリット

不動産会社でMAを導入することで、次のようなメリットが得られます。


売上の拡大

従来の営業方法である電話や訪問といった直接的なアプローチだけでなく、デジタルマーケティングを活用することで、顧客との接点を効率的に増やしながら、成約の可能性を高めることが可能です。

MAの特徴として、見込み顧客の行動を追跡できる機能が備わっており、顧客がどのページを閲覧したか、どのサービスに関心があるのかといった行動データを把握できます。

このデータに基づいて、各顧客が抱えるニーズを具体的に理解できるため、顧客に対してより的確で効果的な提案を行うことができます。


営業リソース不足の解消

これまで営業の主な役割は、商品やサービスを顧客に直接販売することに重点が置かれていました。

しかし近年では、それに加えて新規顧客の集客や、顧客の課題やニーズに応じたソリューション営業も求められるようになり、営業担当者の業務量が増加しています。

単に商品を売るだけでなく、顧客にとっての付加価値を提供し、長期的な関係を構築することが重要視されるようになったのです。


当然、このような業務の拡大に対応するためには、営業担当者を増員することが解決策の一つです。

しかし、実際には、採用にかかるコストや教育のための時間、そして給与などの負担を考えると、利益を損なわずに人員を増やすのは容易ではありません。

人材を増やすことが企業にとってのコスト増加につながるため、慎重な検討が必要です。


そこで、MAを導入することで、営業活動の一部を自動化し、業務全体の効率化を図ることが可能です。

MAを活用することで、見込み顧客の育成やフォローアップを自動化し、営業担当者が個別に対応する必要のない業務を軽減することができます。

これにより、営業チームが本来の商談や交渉といった高価値な業務に集中できるため、効率的に収益を確保しつつ、営業体制の充実を図ることが可能となります。


業務の効率化

営業担当者の仕事には、契約交渉や提案といった重要な業務に加え、見込み顧客へのフォローアップや再連絡など、細かい単純業務も多く含まれています。

これらの業務は一見シンプルに思えますが、実際には意外と多くの時間を要し、営業担当者のメイン業務を妨げる要因となることが少なくありません。

また、これらのタスクが多数あると、対応を忘れてしまうリスクも増え、顧客対応の質が低下する可能性もあります。


MAを活用することで、業務全体を効率化することが可能です。

MAは、見込み顧客へのフォローアップや再連絡を自動的に管理・実行できるため、営業担当者は煩雑な単純作業から解放されます。

また、各タスクの進行状況がシステム上で把握できるため、対応の抜け漏れを防ぎつつ、全体の流れを効率的に管理できるようになります。


結果として、営業担当者はより多くの時間を本来のメイン業務である商談や提案活動に費やすことができ、生産性の向上が期待できます。

MAの導入により、日々の業務効率が改善され、営業活動全体がスムーズに進むため、営業チームとしてのパフォーマンス向上にもつながります。


不動産会社が取り組むべきMA施策

不動産会社が効果的なMAを活用して成果を上げるためには、以下の施策に取り組むことが重要です。


メールマーケティングの自動化

MAを活用することで、見込み顧客に対して自動的にメールを配信し、関心の高い情報をタイムリーに届けることができます。

例えば、物件閲覧履歴に基づくフォローアップメールや、特定の物件の新着情報、キャンペーン案内など、顧客の興味に合わせたパーソナライズされた内容を自動配信することで、顧客の関心を維持し、成約率の向上につなげることが可能です。


ウェブサイト訪問のトラッキング

MAツールを使って、顧客が自社ウェブサイトをどのように利用しているかを把握することができます。

具体的には、どのページを閲覧したのか、どの物件情報に興味を持っているかといった訪問履歴を追跡し、顧客の関心や行動パターンを可視化します。

これにより、関心度の高い顧客を特定し、適切なタイミングでのアプローチが可能になります。


見込み顧客のスコアリング・フォロー

見込み顧客のスコアリング・フォローは、顧客の行動データに基づいて興味や購入意欲を数値化し、高い関心を示している顧客を優先してフォローアップするための仕組みです。

MAを活用することで、顧客がウェブサイトで閲覧したページ、物件に関する資料請求の有無、メールへの反応などの行動データを追跡し、その行動に基づいてスコアを割り当てることが可能です。

例えば、特定の物件ページを複数回訪問している顧客や、資料請求フォームを送信した顧客は、他の顧客よりも購入に対する関心が高いと判断されます。

このような顧客には、高いスコアが付与され、営業担当者が優先的に個別連絡を行う対象としてリストアップされます。

この仕組みによって、対応の優先度を明確にし、営業チームが成約の可能性が高い見込み顧客に集中してアプローチできるため、効率的な営業活動が可能になります


セグメント別キャンペーン設定

MAを活用して、顧客の属性や興味関心に基づきセグメントごとにキャンペーンを設定することも有効です。

ファミリー向けの物件を検討している顧客と、投資物件を検討している顧客には、異なるキャンペーンや情報提供を行うことで、よりターゲットに合わせたアプローチが可能になります。

セグメント化されたキャンペーンにより、各顧客に対してより効果的でパーソナライズされた体験を提供し、成約率の向上を目指します。


不動産会社がこれらのMA施策を実施することで、顧客の関心や行動に合わせたマーケティング活動を自動化し、効率的に顧客との関係構築を深めることができます。

結果として、営業リソースの有効活用や顧客満足度の向上、収益の拡大といった成果が期待できるのです。


まとめ

不動産業界では、MA(マーケティングオートメーション)を活用することで、営業担当者を増やさずに売上を伸ばすことが可能です。

MAを導入することで、見込み顧客の育成から適切なタイミングでのフォローアップまでを自動化でき、効果的なアプローチが実現します。

特に、デジタル化が進む現在の市場環境において、効率的かつ時代に即したマーケティング手法を取り入れることは、競争力を高める重要な要素です。

業務効率を向上させつつ、売上拡大を図りたいとお考えの方は、ぜひMAの導入を検討してみてください。


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