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賃貸不動産経営管理士とは?管理会社が資格を導入すべき理由

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賃貸不動産経営管理士とは?管理会社が資格を導入すべき理由

賃貸不動産管理の現場は、今、大きな転換点を迎えています。

オーナーの意識変化、法令強化、差別化ニーズの高まり——

これらの変化に適応するために、多くの管理会社が取り組んでいるのが「賃貸不動産経営管理士」資格の導入です。

本記事では、管理会社がこの資格に取り組むべき背景と、その導入によって得られる業務メリット、提案力の向上、そして他社との差別化につながるポイントをわかりやすく解説していきます。


<目次>
賃貸不動産経営管理士とは? 
管理会社が今「資格」に取り組む意味
 物件価値を守る“リスク管理”の武器
 オーナーに差別化を示すための根拠
不動産業務で得られる3つのメリット
 原状回復・修繕判断の標準化
 法的根拠のある説明が可能になる
 新人の戦力化スピードUP
オーナー提案で強くなる
 提案に「資格」を添える
 エビデンスとしての資格保有
資格取得にあたっての注意点
まとめ


賃貸不動産経営管理士とは?

「賃貸不動産経営管理士」は、賃貸住宅の管理業務に特化した国家資格です。

2021年に国家資格化され、現在では賃貸住宅管理業法のもとで「管理受託契約が200戸を超える場合、業務管理者としての配置が義務付けられる」など、法令上も重要な役割を担う資格です。

この資格の目的は、入居者対応・建物管理・修繕判断・契約締結・法令遵守といった複雑化する賃貸管理業務を、専門的知識を持つ管理者が適正に遂行できる体制をつくることにあります。

管理業務の質を可視化・標準化する手段として、国が制度設計を行った点からも、今後の不動産管理業界におけるスタンダードとなる資格といえるでしょう。


管理会社が今「資格」に取り組む意味

賃貸管理業界はいま、大きな転換点を迎えています。

人口減少による管理戸数争い、質の高い入居者対応、オーナーへの専門的な提案力――。

どれも「属人的な経験」だけでは限界が見え始め、会社としての“専門性の証明” が求められる時代になりました。

その中で注目されているのが、スタッフの「資格取得」です。

資格は単なる肩書きではなく、業務品質・オーナー信頼・採用力・離職防止 に直結する経営投資です。

管理会社が今あらためて資格に取り組む意味は、これまで以上に大きくなっています。


オーナーに差別化を示すための根拠

不動産管理業界は、参入障壁が比較的低く、サービスの質が見えづらいため、価格競争に陥りがちです。

しかし、価格だけを武器にしていては、継続的な信頼関係を築くことは困難です。

そのために有効なのが「見える専門性」。すなわち、資格保有者の存在です。

・「当社は○名の賃貸不動産経営管理士が在籍しています」

・「オーナー様ごとに担当するのは、必ず有資格者です」

こういった明示的なメッセージは、管理品質の証明として機能し、オーナーに安心感と信頼感を与えます。


物件価値を守る“リスク管理”の武器

管理会社の役割は「空室を埋める」ことだけではありません。

今後ますます重要になるのが、「物件の価値を維持・向上させる管理力」です。

建物の老朽化、設備の更新判断、入居者とのトラブル回避、災害対応などのリスクに対し、体系的に対応できる知識と判断力が管理会社には求められます。

賃貸不動産経営管理士を社内に配置することで、これらの業務に対する専門性・再現性・信頼性を担保できます。

オーナーにとって「管理会社に任せている=物件の価値が守られる」ことは、最も基本的で重要なポイントです。

リスク管理力を資格という形で明示できることは、他社との差別化にもつながります。


賃貸不動産経営管理士取得で得られる3つのメリット

賃貸不動産経営管理士は、管理会社にとって今もっとも実務価値の高い資格のひとつです。

法律改正で位置づけが強化されたこともあり、取得者がいるかどうかは、管理品質の証明であり、オーナーからの信頼獲得にも直結します。

さらに現場レベルでも、入居者対応・建物管理・オーナー提案の精度が向上し、結果として クレーム削減・業務効率化・管理戸数の維持拡大に大きく貢献します。

ここでは、管理会社が賃貸不動産経営管理士を社内で育成することで得られる、3つの主要メリットをわかりやすく紹介します。


原状回復・修繕判断の標準化

退去後の原状回復工事や、定期的な修繕の判断基準が属人的になっていませんか? 

実はこの領域こそ、トラブルが多発しやすく、オーナーとの信頼関係を損ないかねないポイントです。

本資格では、法的根拠やガイドラインに基づいた修繕の判断軸が学べるため、現場対応のバラつきを減らし、社内での判断基準の統一が実現します。

「どこまでオーナー負担か?」 「退去者の負担割合は?」 「工事の緊急性・優先度は?」 

こうした判断を、明確な根拠とルールに基づいて行うことで、社内外のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。


法的根拠のある説明が可能になる

現代の賃貸管理において、オーナーや入居者から「その対応の根拠は?」「何に基づいた判断なのか?」と問われる場面が確実に増えています。

情報社会が進む中、借主・貸主ともに法的リテラシーが高まっており、管理会社に対して感覚的な対応ではなく法令に基づいた説明を求める傾向が強まっているのです。

こうした背景の中で、賃貸不動産経営管理士の資格を持つ社員が在籍していることは、非常に大きな意味を持ちます。

本資格では、賃貸住宅管理業法をはじめ、宅地建物取引業法や民法改正の内容、さらには賃貸借契約に関わる実務上の判例・ガイドラインなど、幅広い法的知識を学ぶカリキュラムが組まれています。

たとえば、入居者からの原状回復費用に対する異議申し立て、オーナーからの修繕時期の判断の妥当性など、説明が必要なシーンは日常的に発生します。

こうしたときに「国交省のガイドラインに準拠しています」「管理業法の◯条を根拠にしています」と明言できることは、担当者個人だけでなく管理会社全体の説明力・説得力を高める武器となります。

また、法的なトラブルの予防だけでなく、「正しい説明ができる」ことは顧客満足度や信頼性向上にもつながります。

これは問題が起きた時だけの話ではなく、日々の提案・運用・更新時にもプラスに働く、極めて重要な企業力強化ポイントです。


新人の戦力化スピードUP

不動産管理業界において、慢性的な課題とされているのが「新人の戦力化が遅い」という問題です。

賃貸管理業務は対応範囲が広く、法務・建物管理・契約知識・クレーム対応など多岐にわたるため、経験がない社員にとっては“どこから学ぶべきか分からない”という状態になりやすいのが実情です。 

そこで、賃貸不動産経営管理士の資格取得を教育フレームとして組み込む企業が増えています。

資格学習を通じて賃貸管理の基礎を体系的に学ばせることで、「OJTだけに頼らない育成モデル」が実現できます。 具体的には、入社後の研修プログラムに「資格取得講座」や「勉強会」を組み込み、実務と並行してインプットを進める方式が効果的です。

テキストや模擬試験、過去問などのアウトプット教材も豊富であるため、学びの進捗が見えやすく、評価基準としての運用も可能です。

さらに、資格取得を1つの“社内評価軸”とすることで、キャリアアップや給与査定にも連動させやすくなります。

社員にとっては明確な目標となり、成長意欲・定着率の向上にもつながります。 

とくに中小規模の管理会社では、教育リソースに限りがあるため、個別対応の研修や属人的なOJTに頼りがちです。

しかし、資格取得を基盤とした育成フレームを取り入れれば「教育の効率化」と「管理品質の均一化」を同時に実現できる強力な手段となります。


オーナー提案で強くなる

賃貸不動産経営管理士を持つスタッフは、空室対策・修繕判断・法改正対応など、オーナーが求める専門的な根拠を添えた提案ができるようになります。


提案に「資格」を添える

オーナーへの提案の質は、管理会社の印象を大きく左右します。

提案書や営業資料に「賃貸不動産経営管理士が担当しています」「すべての管理物件に資格保有者が関与しています」と明記するだけで、オーナーの反応が明らかに変わる場面も少なくありません。 

賃貸不動産経営管理士という国家資格は、第三者機関によって認定された「管理業務の専門知識・法令理解・実務力を持つ人材」であることを証明するものです。

口頭でいくら「当社はしっかり対応しています」と説明するよりも、圧倒的に信頼を獲得できる客観的な証拠になります。 

特に、新規オーナー開拓や他社からの乗り換え提案の場面では、価格やサービス項目の違いだけでなく、「誰が対応するのか」「どれだけ安心して任せられるか」といった人的信頼性が選定基準になります。

その際、資格保有者が提案に同席する、もしくは管理体制の中核を担っていると明示することで、他社との差別化が図れます。


エビデンスとしての資格保有

単に「資格者がいます」と伝えるだけでなく、数値化・可視化されたエビデンスとして提示することが、営業においてはより効果的です。 

たとえば、以下のような情報は、提案書・営業トーク・自社Webサイトなどに積極的に盛り込むことで、信頼感を高めることができます。

「管理スタッフの70%が賃貸不動産経営管理士を保有」 

「毎年5名以上が資格を新たに取得」 

「資格取得支援制度を整備し、社員の専門性を高めています」 

「外部研修・社内勉強会を通じて継続的に管理品質を向上中」 

こうした具体的な取り組みを打ち出すことは、単なる営業トークではなく、管理会社としての教育方針・管理品質への本気度を示す材料となります。 

顧客事例として「当社では、〇〇資格者が担当したことで入居率が○%改善した」「オーナーからの管理満足度が向上した」などの具体的成果を加えれば、より強力な訴求が可能です。 

今後、オーナーのニーズは「誰が管理するか」にもシフトしていきます。

その中で、専門資格保有者が“見える形”で提案に関与していることは、確実に評価の対象となります。


賃貸不動産経営管理士取得にあたっての注意点

賃貸不動産経営管理士の導入は、多くのメリットをもたらす一方で、「ただ取らせるだけ」では本来の効果を発揮できません。

社内で制度として定着させ、資格を活かすためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。


1.資格取得の目的を社内で共有する 

「何のために取るのか」が曖昧なままでは、現場に形だけの取得が増えてしまいます。

社内で資格取得の目的(例:業務の標準化、提案力の強化、人材育成の軸など)を明確にし、上層部から現場まで共通認識を持たせることが第一歩です。 


2.教育体制・フォローアップの仕組みを整える

資格取得の学習は、独学だけでは継続が難しいケースもあります。

外部講座の活用、社内勉強会、先輩社員によるフォローなど、教育インフラを事前に整えておくことで、取得率・定着率の向上が期待できます。

また、合格後の活用方法(役割変更、評価制度、インセンティブなど)まで設計しておくと、モチベーション維持にもつながります。


3.取得後の運用を見据えておく

資格を取っただけで満足してしまい、現場でうまく活用できていないケースも散見されます。

大切なのは、取得後にどう活かすかです。 

たとえば、

・提案書への名前・肩書きの記載

・営業同行や説明会での登壇

・社内マニュアルや研修資料の監修

・トラブル対応の相談窓口としての役割

など、業務に組み込むことで、資格が“組織全体の武器”として機能します。


4.形式的な取得に終わらせない

「ノルマだから仕方なく」「昇進条件だからとりあえず」といった取得の動機では、実務への活用が難しくなります。

試験対策だけに偏らず、「実務にどうつながるのか」を意識した学習設計と、管理者側の支援が重要です。


まとめ

賃貸不動産経営管理士は、今や賃貸管理業務における「必須の武器」と言っても過言ではありません。

本資格の導入は、単なる人材のスキルアップにとどまらず、業務の標準化や法的対応力の強化、オーナー提案の質向上、そして企業としてのブランド価値の向上にまでつながります。

特に、中小の地場管理会社にとっては、資格の有無が他社との差別化要因となり、オーナーから選ばれる理由にもなり得ます。

新人育成や営業現場での活用、組織体制の強化など、あらゆる面で実務的な効果が期待できる点も見逃せません。 

導入に際しては、目的の共有や教育体制の整備、取得後の活用設計といった運用面の工夫も欠かせませんが、きちんと取り組めば、確実に「強い管理会社」をつくるための土台となるはずです。 

これからの時代、管理会社には「管理する」だけでなく、「信頼を築き、価値を提供する存在」であることが求められます。

その中で、賃貸不動産経営管理士という資格を戦略的に活用することは、オーナーとの関係強化、管理品質の向上、そして企業の持続的成長を実現するための、非常に有効な一手となるでしょう。





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