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賃貸借契約書とは?必須の項目と注意点を徹底解説

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賃貸借契約書とは?必須の項目と注意点を徹底解説

賃貸借契約は、賃貸物件を借りる際に賃貸人と賃借人との間で交わされる重要な法的文書です。

物件の詳細や使用目的、賃料など、契約条件を明確にすることで、双方が安心して契約を結ぶことができます。

しかし、契約内容やその締結方法、さらに特約事項などの詳細を理解していないと、後にトラブルに発展することもあります。

本記事では、賃貸借契約の基本的な内容や注意点について詳しく解説し、トラブルを防ぎながら円滑に契約を結ぶための注意点を解説します。


<目次>
1.賃貸借契約とは?
 普通建物賃貸借契約の特徴
 定期建物賃貸借契約の特徴
2.重要事項説明書との違い
3.賃貸借契約の締結方法
4.賃貸借契約書の記載事項
 賃貸借の目的物(物件の詳細)
 使用目的の明示
 契約期間と更新条件
 賃料および共益費
 敷金と礼金の取り扱い
 契約および更新の手続き
 禁止事項の詳細
 修繕の範囲と責任
 原状回復の基準
 その他の特約事項
5.注意すべきポイント
 特約事項の確認
 ペット飼育や楽器演奏の制限
 修繕の責任分担と対応方法
 契約解除の条件と違約金
6.賃貸借契約のテンプレート
7.まとめ


1.賃貸借契約とは?

賃貸借契約とは、貸主(オーナー)と借主(入居者)との間で、物件の使用や賃料の支払いに関する条件を定める契約書です。

この契約書には、物件の所在地、賃料、敷金、礼金、契約期間、契約の解除条件などが詳細に記載されています。

契約書を通じて、貸主と借主の権利と義務が明確になり、賃貸借関係を円滑に進めるための条件が記載されています。


賃貸借契約は、住居やオフィスの賃貸において欠かせないものであり、契約内容に不備があったり、貸主と借主の間で認識の違いが生じると、後にトラブルの原因となる可能性があります。


賃貸借契約に関する法律は、主に民法、借地借家法、消費者契約法で規定されています。

特に2020年4月1日を境に、民法(債権法)の改正が行われ、修繕の要件や契約終了時の原状回復義務、敷金の扱いなど、不動産賃貸に関する規則が変更されました。

これにより、不動産賃貸における修繕の要件や契約終了時の原状回復、敷金の扱い、契約書の内容などに関するルールが変更されました。


また、賃貸借契約(建物賃貸借契約)には「普通賃貸借契約」と「定期賃貸借契約」の2種類があります。

これらの契約は、契約期間や更新方法に違いがあります。

以下でふたつの違いを詳しく解説します。


普通建物賃貸借契約の特徴

普通建物賃貸借契約とは、賃貸借の期間が1年以上(一般的には2年)で設定される契約形態です。

この契約では、借主または貸主からの解約申し入れがない限り、自動的に契約が更新されるため、借主は長期間にわたって同じ物件に住み続けることができます。

契約期間が終了した後も、賃料などの諸条件に双方が合意していれば、引き続き契約を更新することができます。


普通建物賃貸借契約では、借主は契約期間中でも、一般的に1〜2ヶ月前に通知を行うことで、解約の申し入れが可能です。

一方、貸主が解約を申し入れる場合には、6ヶ月前までに通知する必要があり、かつ正当な理由がなければ解約することができません。

これは、借地借家法により借主の居住権が強く保護されているためであり、貸主からの解約や更新拒絶には、借主の同意が必要となる場合が多いです。


また、契約期間は一般的には2年間とされますが、契約内容に応じて異なる期間を設定することも可能です。

このため、普通建物賃貸借契約は、借主にとって安定した住居を提供し、貸主にとっても柔軟な運用が可能な契約形態です。


定期建物賃貸借契約の特徴

定期建物賃貸借契約とは、あらかじめ設定された契約期間の満了とともに自動的に契約が終了する契約形態です。

この契約では、契約期間が終わると自動的に解約となり、借主は退去しなければなりません。

同じ物件で賃貸借を続けたい場合は、貸主と借主の双方が再度合意して新たに契約を結ぶ必要があります。


また、定期建物賃貸借契約は、契約期間中に借主が自由に解約することはできませんが、特約により転勤、療養、親族の介護などのやむを得ない事情が生じた場合には中途解約が認められることもあります。

この契約の特徴により、貸主は契約期間中の安定した賃料収入を得ることができ、契約期間満了後には物件を再利用したり、再開発したりする自由があります。


さらに、契約期間は1年から数十年と自由に設定できるため、長期的な利用を前提とした契約も可能です。これにより、物件の使用目的や貸主の計画に応じて柔軟な運用が可能になります。


普通建物賃貸借契約は、借主にとって安定した住居を提供するための契約であり、長期間にわたって同じ物件に住むことが可能です。

定期建物賃貸借契約は、貸主にとって物件の再利用や再開発の自由度を高める契約であり、契約期間終了時には必ず退去する必要があるため、貸主にとって物件の使用方法を柔軟に設定することができます。

それぞれの契約には異なる利点と制約があり、借主と貸主のニーズに応じて選択することが重要です。


2.重要事項説明書との違い

賃貸借契約と重要事項説明書は、どちらも賃貸契約に関連する重要な書類ですが、それぞれの目的と役割は異なります。

賃貸借契約は、貸主と借主の間で物件の賃貸条件を正式に取り決めるための契約書です。

賃貸借契約には、賃料や敷金、契約期間、解約条件など、物件の賃貸に関する具体的な条件が含まれています。

これは、借主と貸主の間での約束事を明確にするためのものです。

また、賃貸借契約は、借主と貸主の双方が署名することで法的に有効となり、双方の権利と義務が正式に決定されます。


一方、重要事項説明書は、契約前に借主に物件の詳細情報を提供するための書類です。

重要事項説明書には、物件の物理的な状態、権利関係、法令に基づく制限など、物件や契約に関する重要な情報が記載されています。これは、借主が契約する前に知っておくべき重要な内容をまとめたものです。

重要事項説明書は、契約前に不動産業者が借主に対して説明し、書面として交付されるもので、これ自体は契約ではありませんが、契約の前提として必ず説明されるべきものです。


簡単に言うと、賃貸借契約は「貸主と借主の間の正式な契約書」であり、重要事項説明書は「契約前に借主が物件の詳細を理解するための説明書」です。

これらの違いを理解することで、賃貸契約をよりスムーズに進めることができます。


3.賃貸借契約の締結方法

建物賃貸借契約を結ぶ際には、貸主と借主が直接やり取りするのではなく、通常は不動産会社に仲介を依頼することが一般的です。

貸主にとっては、不動産会社に依頼することで、入居希望者とのやり取りの負担が軽減されるだけでなく、信頼できる借主を見つけてもらうことができます。

一方で、借主にとっても、不動産会社を通すことで、複数の賃貸物件の中から自分に適した物件を提案してもらえるため、それぞれの大家と個別にやり取りをする手間が省けます。


不動産会社が入居希望者を見つけて申し込みが行われると、入居者の審査が行われます。

審査では、主に入居希望者が毎月の賃料を安定して支払えるかどうかの経済的な能力が評価されます。

審査が通った後、入居希望者は物件に関する重要事項の説明を受け、最終的に建物賃貸借契約の締結に至ります。


4.賃貸借契約書の記載事項

賃貸借契約書には、貸主と借主の間で交わされる契約内容が詳細に記載されています。


賃貸借の目的物(物件の詳細)

賃貸借契約書の最初の重要な項目は、契約の対象となる物件の詳細です。

物件の正確な住所、間取り、専有面積、築年数、建物の構造などが含まれます。

また、賃貸物件が建物の一部である場合、その特定の部屋番号や階数も記載されます。

詳細を記載することで、貸主と借主の双方が契約の対象となる物件を明確に理解し、誤解やトラブルを防ぐことができます。


使用目的の明示

物件の使用目的が明確にされることは、賃貸借契約書の中でも非常に重要です。

通常、居住用、事務所用、商業用などの使用目的が明示されます。

借主が物件をどのように使用するかが特定され、契約条件を守る範囲が定められます。

例えば、居住用として貸し出された物件を事務所として使用することは契約違反となるため、使用目的を正確に明記することは双方の権利保護につながります。


契約期間と更新条件

賃貸借契約の期間も、契約書の中で詳細に説明される必要があります。

契約の開始日と終了日が明記されるとともに、契約期間が終了した場合の更新条件についても記載されます。

自動更新の有無や、更新を希望する場合の手続き、更新料の有無などがここに含まれます。

これにより、借主は契約期間終了後の対応を前もって知ることができ、必要な準備が可能になります。


賃料および共益費

賃料および共益費に関する詳細は、契約書の中でも最も重要な部分の一つです。

賃料の額、支払いの期限、支払い方法(銀行振込や現金など)、および共益費(共有部分の維持管理費用など)の詳細が記載されます。

共益費が賃料に含まれるか、別途支払う必要があるかについても明確にされます。

借主は毎月の支払い義務を正確に理解し、遅延や未払いを避けることができます。


敷金と礼金の取り扱い

敷金や礼金の取り扱いについても、契約書に詳しく記載されます。

敷金(保証金)の額、敷金の返還条件、退去時の敷金の精算方法、礼金の額や返還の有無などが含まれます。

敷金は通常、借主が物件を退去する際の損傷修理費用や未払い賃料の保証として使われますが、その返還条件についても明確に記載する必要があります。


契約および更新の手続き

契約および更新の手続きについても、契約書に記載されます。

新規契約時の必要書類や手続きの詳細、更新時の手続き方法、更新契約の条件などがここに含まれます。

これにより、契約を続行する場合や終了する場合の手続きを事前に把握でき、スムーズな対応が可能になります。


禁止事項の詳細

物件の使用に関する禁止事項についても、契約書に具体的に記載されます。

禁止事項には、ペットの飼育の可否、楽器の演奏に関する制限、物件内での改装や改修の禁止などが含まれます。

禁止事項は、他の居住者や近隣住民への迷惑行為を防ぎ、物件の維持管理を容易にするために設定されています。


修繕の範囲と責任

物件の修繕に関する範囲と責任分担についても、契約書で明確に定められます。

例えば、軽微な修繕は借主が行うべきか、大規模な修繕は貸主の責任で行うべきかなどが明記されます。

修繕の範囲と責任を明確にすることで、修繕が必要な場合の対応方法が事前にわかり、トラブルを防ぐことができます。


原状回復の基準

原状回復の基準は、借主が物件を退去する際の重要な項目です。

契約書には、通常使用による経年劣化と借主の故意または過失による損傷の違いが記載され、原状回復義務の範囲が明確に示されます。

退去時における不要なトラブルや費用負担を避けることができます。


その他の特約事項

その他の特約事項として、契約の際に特別に取り決めた内容が記載されます。

これには、駐車場の使用条件、鍵の管理方法、共有スペースの使用規則、特別な修繕や改装の許可条件などが含まれます。

特約事項は、物件や契約者の特定の状況に応じて個別に設定されることが多く、契約の柔軟性を高めるために役立ちます。


これらの項目はすべて、賃貸借契約書において貸主と借主の権利と義務を明確にし、公正な取引を保証するために不可欠です。


5.注意すべきポイント

賃貸借契約書において注意すべきポイントは、借主と貸主の双方が後々のトラブルを避けるために十分に理解しておく必要がある重要な事項です。

以下に、それぞれのポイントについて詳しく説明します。


特約事項の確認

賃貸借契約書には、標準的な契約条件に加えて「特約事項」が記載されている場合があります。

特約事項とは、一般的な契約条件とは異なる個別の取り決めや、特定の状況において適用される追加のルールです。

例えば、賃料の特別割引、特定の修繕費用の負担、特定期間の解約不可などが挙げられます。


特約事項は契約の一部として法的拘束力を持つため、契約前にこれらを十分に確認し、内容を理解することが重要です。

特に、特約事項に予期しない内容が含まれている場合、それが借主にとって不利な条件になり得るため、疑問点があれば事前に貸主に確認し、納得した上で契約を結ぶようにしましょう。


ペット飼育や楽器演奏の制限

賃貸物件では、ペットの飼育や楽器の演奏に関して制限が設けられていることが一般的です。

これらの制限は、物件の構造や音の響き方、他の居住者への影響などを考慮して設定されています。


ペットの飼育を希望する場合や、楽器を演奏する予定がある場合は、契約書で制限をしっかりと確認する必要があります。

違反した場合、契約違反として退去を求められたり、追加の費用負担が発生する可能性もあります。


修繕の責任分担と対応方法

賃貸借契約書には、物件の修繕に関する責任分担が明記されています。

例えば、日常的な小修繕(電球の交換や壁の小さな穴の修理など)と、建物の老朽化に伴う大規模な修繕(外壁の補修や屋根の修理など)のどちらが貸主と借主の責任であるかが示されます。


修繕が必要になった際に、どの程度まで借主が負担するのか、どのタイミングで貸主に報告すべきか、またその際の連絡方法なども確認しておく必要があります。

修繕に関する取り決めが曖昧だと、後々費用負担や修繕の対応でトラブルになることがあるため、契約前に明確にしておくことが望ましいです。


契約解除の条件と違約金

契約解除の条件やその際に発生する違約金に関する取り決めには、借主が契約期間中に退去を希望する場合の手続きや、違約金の額、通知期限などが含まれます。

契約解除の条件と違約金については、契約期間中に転居を余儀なくされる場合や、契約を早期に終了したい場合に重要となります。

契約解除に伴う費用や手続きが厳しい場合、経済的負担が大きくなることもあるため、契約書の該当部分をしっかり確認しましょう。


6.賃貸借契約のテンプレート

賃貸借契約書を作成する際には、不動産関連団体や協会のウェブサイトからテンプレートをダウンロードすることができます。

しかし、これらのテンプレートはすべての賃貸契約にそのまま使えるわけではないため、内容をよく確認することが重要です。

住宅:『賃貸住宅標準契約書』について – 国土交通省


専門的な知識がないまま賃貸借契約書を作成すると、契約が無効になるリスクもあります。

契約書に借主や貸主が不利益を被るような条項が含まれていないか、また法律に違反していないかなど、確認すべき点は多岐にわたります。

そのため、安心して契約を結ぶためには、不動産の賃貸借契約に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。


7.まとめ

賃貸借契約は、貸主と借主の双方が安心して取引を行うために必要不可欠な文書です。

本記事では、賃貸借契約の基本的な特徴から、重要事項説明書との違い、契約締結の方法、賃貸借契約書に記載すべき事項について詳しく解説しました。

特に、賃貸借の目的物や使用目的、契約期間と更新条件、賃料と共益費、敷金や礼金の取り扱いといった基本的な項目に加え、修繕の責任や禁止事項、特約事項などの詳細も押さえる必要があります。

さらに、特約事項の確認、ペット飼育や楽器演奏の制限、修繕の責任分担と対応方法、契約解除の条件と違約金といった注意すべきポイントを理解し、予め確認しておくことで、契約後のトラブルを避けることが可能です。


賃貸借契約は法的に拘束力があるため、契約内容をよく理解し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。


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