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不動産の「レインズ」とは?

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不動産の「レインズ」とは?

不動産市場における情報の透明性は、購入者と売主双方にとって極めて重要です。

このニーズに応えるために、日本の不動産業界では「レインズ(REINS)」というシステムが導入されています。

本記事では、レインズがどのようなシステムであるか、不動産会社がこのシステムをどのように活用しているかを詳しく解説します。


<目次>
不動産の「レインズ」とは?
 レインズとは
 レインズの目的
 レインズには4団体ある
不動産会社がレインズを活用する3つのメリット
 1.市場の透明性と信頼性の向上
 2.物件情報の迅速な取得と広範なアクセス
 3.過去の取引事例が蓄積され適正価格が分かる
レインズが不動産会社しか利用できない理由
レインズ登録義務と不動産の媒体契約の関係
 専属専任媒介契約
 専任媒介契約
 一般媒介契約
不動産会社による囲い込みを防ぐ役割も
まとめ


不動産の「レインズ」とは?

不動産業界において「レインズ」という言葉を耳にすることがありますが、多くの人にとってはなじみの薄い用語かもしれません。

レインズとは、正式には「不動産情報ネットワークシステム」の略称で、不動産取引をより透明で効率的にするためのシステムです。


レインズとは

レインズ(REINS)は、国土交通大臣指定の不動産流通機構によって運営されているコンピューターネットワークシステムで、その正式名称は「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」です。

このシステムは、不動産会社が会員となっていることを前提に、売買物件の検索や情報登録が行える機能を提供しています。

また、過去の取引事例が蓄積されており、これによってエリアごとの適正価格を把握することが可能です。

レインズにアクセスできる不動産会社は、それだけで個人情報取扱業者として扱われ、報告や命令違反に対する罰則などの義務を負います。


レインズの目的

レインズの主な目的は、不動産市場の情報を一元化し、利用者にとって見やすく、理解しやすい形で情報を提供することです。

また、不動産取引の透明性を高め、消費者が安心して不動産取引を行えるようにサポートする役割も担っています。

不動産取引の情報が、囲い込みなど不当に閉鎖的にならないように、専任、専属専任媒介契約を結んだ物件はレインズに登録する義務があります。

さらに、レインズは取引事例の記録を蓄積し、これを用いてエリアごとの不動産の相場を形成し、価格決定の根拠として活用されます。

これにより、物件は適正価格と適正条件で取引されることが保証され、売主と買主は安全な取引環境を享受できます。

レインズを利用することで、売却物件の情報を広く不動産会社間で共有し、迅速に取引を促進することが可能です。

さらに、サイトを通じて周辺物件の価格や市場の動向を把握できるため、不動産取引の効率化と透明性向上を図る重要なツールとなります。


レインズには4団体ある

レインズは、全国で4つの団体によって運営されています。

各地域における不動産流通の効率化と透明性向上を目的として、国土交通大臣から「指定流通機構」として指定されています。

各団体は、公益社団法人または公益財団法人として設立され、それぞれが異なる地域をカバーしています。

これにより、全国的な不動産情報のネットワークが形成され、広範囲にわたる情報共有が可能となっています。


・東日本レインズ(公益財団法人東日本不動産流通機構)

北海道

東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)

北関東(茨城、栃木、群馬)

首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)

甲信越3県(山梨、長野、新潟)


・中部レインズ(公益社団法人中部圏不動産流通機構)

中部、北陸(愛知、静岡、三重、岐阜、富山、石川、福井)


・近畿レインズ(近畿圏不動産流通機構)

近畿(大阪、京都、奈良、和歌山、兵庫、滋賀)


・西日本レインズ(公益社団法人西日本不動産流通機構)

中国(岡山、広島、山口、鳥取、島根)

四国(徳島、香川、愛媛、高知)

九州・沖縄(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)


不動産会社がレインズを活用する3つのメリット

1.市場の透明性と信頼性の向上

レインズは全国の不動産業者間で物件情報を共有するシステムです。

物件情報の透明性が高まり、正確かつ最新の情報が提供されるため、消費者は安心して取引を行うことができます。

また、業者同士も正確な情報を元に取引を進めることができるため、信頼性の高い取引が実現します。


2.物件情報の迅速な取得と広範なアクセス

レインズに登録されている物件情報は全国の不動産業者がアクセス可能であり、新しい物件情報が迅速に市場に出回ります。

これにより、幅広い顧客にリーチでき、特に売り手や貸主にとっては、物件が早期に売却または賃貸される可能性が高まります。

また、レインズを利用することで全国の物件を簡単に検索できるため、複数の不動産会社を回ったり問い合わせをする手間が省けます。

さらに、レインズに物件情報を掲載することで、その情報発信力が強化され、より多くの購入希望者を集めることが可能になります。


3.過去の取引事例が蓄積され適正価格が分かる

物件の売買が成立した後、不動産会社は売買契約の成立年月日や取引価格などの情報をレインズに登録します。

こうしてレインズには実際の取引情報がリアルタイムで蓄積されていきます。

これらの過去の取引事例を参考にすることで、新たに売却依頼や査定依頼があった際に、蓄積された情報を基に適正な価格を算出することができます。

不動産会社が査定を行う際にも、レインズの情報が頻繁に活用されます。

蓄積された取引情報が正確であるため、適正な査定額を提供することが可能となります。


レインズが不動産会社しか利用できない理由

レインズは、不動産会社専用のシステムであり、一般の人が直接アクセスすることはできません。

この制限は、個人情報保護の観点から設けられています。

物件情報や顧客情報が詳細に含まれており、これらが一般に公開されると、売りに出されている物件の所有者や家庭の事情が不特定多数に知られる可能性があります。

そのため、レインズは厳格に情報管理を行い、不動産会社を通じてのみ情報が取り扱われます。


しかし、情報の一般公開のニーズに応えるために、「REINS Market Information」というシステムが存在します。

このシステムでは、個人情報が特定されないように加工された物件情報が提供されており、一般の人でもエリアごとの成約価格や相場情報を検索することができます。

これにより、安全に市場情報を得ることが可能となっています。


レインズ登録義務と不動産の媒体契約の関係

不動産の売却を仲介する際、宅地建物取引業法に基づいて、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つの契約タイプがあります。

契約によって、レインズへの登録義務も異なります。

具体的には、「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」締結時には物件のレインズ登録が義務付けられていますが、「一般媒介契約」の場合はレインズへの登録が任意となっています。


専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、売主が一つの不動産会社にのみ物件の売却を依頼し、他の不動産会社とは契約できない形式です。

この契約を結んだ場合、不動産会社は売却物件をレインズに登録することが義務付けられています。


専任媒介契約

専任媒介契約では、売主は一つの不動産会社に売却活動を委託しますが、自己で買い手を見つけた場合にはその取引を自身で行うことができます。

この契約形式でも、不動産会社は物件をレインズに登録する義務があります。

専任媒介契約は、専属専任媒介契約よりも少し柔軟性がありますが、依然として一定の専属性が保たれます。


一般媒介契約

一般媒介契約の場合、売主は複数の不動産会社に同時に売却を依頼することができます。

この契約では、売主が自分で買い手を見つけた場合、不動産会社を介さずに直接取引することが可能です。

レインズへの登録は任意です。

一般媒介契約は、売主と買主双方にとって制約が少なく、高い柔軟性を持っています。


不動産会社による囲い込みを防ぐためにもレインズは重要

不動産業界での「囲い込み」とは、不動産会社が売主から売却の仲介を依頼された物件を自社のみで秘密にし、他の不動産会社や購入希望者に情報を開示せず、独占的に取引を進めることを指します。


不動産取引には「片手取引」と「両手取引」の二つの形式がありますが、両手取引では不動産会社が売主と買主の両方の仲介を担うため、より高い手数料を得られることから、不動産会社はこの形式を好む傾向があります。

これが囲い込みの誘因となることが多いです。


レインズは、こうした不正を防ぐためにも重要なシステムであり、不動産会社が共有する情報ネットワークです。

このシステムを通じて、物件情報が広く公開され、どの不動産会社も平等にアクセスできるようになっています。

レインズに登録された物件は「公開中」「申込」などのステータスが表示され、透明性が保たれています。

そのため、不動産取引を行う際には、レインズのような公開システムの存在が非常に重要なのです。


まとめ

レインズは、効率的な不動産取引を支える必要不可欠なシステムです。

しかし、レインズは重要な個人情報を扱うため、その利用はレインズ会員である不動産会社に限定されており、一般の人々はアクセスできません。

レインズを利用する際には、そのメリットと共に、注意すべき点もありますので、取引をスムーズに進めるためには事前の確認が必要です。



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