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賃貸管理会社が行うべき災害が起こった時の施策とは

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賃貸管理会社が行うべき災害が起こった時の施策とは

近年、地震・台風など数多くの災害が日本各地で発生しております。

災害発生時に管理会社が行うべき行動は何なのでしょうか。

今回は、令和6年1月1日に起きた能登半島地震当日の出来事、管理会社としての対応を時系列に沿ってお伝えいたします。

合わせて、災害対応のポイントを解説します。


<目次>
令和6年能登半島地震の対応
災害対応のポイント
 災害の特設サイト開設
 入居者からのお問い合わせ対応
 WEBを見ていない入居者への告知
 対応方法をフロー化しアウトソース
 管理物件の被害状況確認
 被災者への支援活動&告知
 オーナーへの取り組み共有
管理物件の被災トラブル件数
まとめ


令和6年能登半島地震の対応

自然災害は突然起こります。

まず、会社として事前に災害が起こった時の対応を決めておくことが大切です。

弊社、クラスコではその取り決めがありませんでした。


2024年1月1日の午後4時10分に突然能登半島を大きな揺れが襲いました。

もちろん、クラスコ本社のある金沢市も大きく揺れ、この地震で金沢では震度5強が記録されました。

地震発生から約20分後の午後4時29分に、最初の連絡が入りました。

直ちに対策本部を設置し、スタッフの安否確認を行いました。

年始で休業中であり、多くのスタッフが金沢を離れていたため、地元で対応可能な27名のスタッフを緊急召集しました。

この日、水漏れの報告が168件寄せられました。

続く1月2日も多くの問い合わせがあり、通常はクレーム対応を行うスタッフであっても、水漏れの知識が乏しいため対応が難航しました。

この際、大きな助けとなったのが、クラスコの物件に住む入居者専用のWEBサイトです。

このサイトには、水漏れや電気トラブルなど、様々な事態に対する指南が掲載されており、スタッフはこの情報を基に対応しました。

さらに、専門的な内容については「ちんたいちょう」というアプリに情報が集約されており、こちらも参照して対応しました。

翌日の1月2日には43名、1月3日には70名のスタッフが出勤し、被害の状況を「きろくん」という点検アプリを使って確認しました。

1月3日には被災者支援として、仲介手数料の免除と、対象物件の家賃を最大6ヶ月間クラスコが負担することを決定しました。

この情報はWEBサイトにも公開され、多くの問い合わせが寄せられています。

本来は1月4日まで休業予定でしたが、被災対応を優先して1月6日から業務を再開しました。


災害対応のポイント

災害の特設サイト開設

クラスコは災害発生直後に特設サイトを開設し、電話での問い合わせをオンラインに移行させました。

物件の入口には特設サイトへのアクセスを促す二次元コードを掲示し、不急の問い合わせに対しては対応を控えることで、電話が繋がりにくい状況を避けることができました。

サイトからは地震の被害に応じて各対応フォームへアクセスが可能で、1週間で1562件のアクセスがありました。

これにより、緊急性の高い案件から順に効率良く対応することが可能となり、スタッフの負担も分散されました。

自動音声による案内や、特設サイトでの自助対応の促進も行い、ガス停止やマイコンメーターの止め方など、入居者自身でできる対応をウェブで案内しました。

また、建物やライフラインの被害については、写真を投稿できるフォームを設けることで、入居者からの直接報告を可能にしました。

これらの措置により、コールセンターや本社への問い合わせが抑制され、緊急性の高い案件に集中して対応する体制を整えることができました。


入居者からのお問い合わせ対応

クラスコでは地震発生後、入居者からのお問い合わせ対応のために効率的なフローチャートを設定しました。

自動音声で、緊急性の低い問い合わせは特設ウェブサイトへ誘導され、フォーム経由での登録が奨励されました。

お客様が写真付きで情報を提供することによって、より迅速かつ効率的に対応が可能となり、業務の負担も大幅に削減されました。


さらに、保険対応をお客様から直接保険会社に行うようにし、クラスコが介入しない新しい動線を確立することで、スムーズな対応を実現しました。

これらの措置は、災害対応の効率と効果を大きく向上させる結果となりました。


WEBを見ていない入居者への告知

普段からWEBサイトを見ないお客様もいるのではないかということで、アパートにはエントランスへの張り紙とポスティングも行いました。

WEBサイトを見ないお客様にも、特設サイトがあるということの周知と、地震対応のマニュアルが確認できる状態を作りました。


対応方法をフロー化しアウトソース

ウェブサイトで解決できない問題や緊急性の高い問い合わせに対応するため、社内マニュアルをコールセンターに共有しました。

これにより、専門知識がないスタッフも専門的なヒアリングを行うことが可能となり、コールセンターでの一次対応が自社と同様のクオリティで完結できるようになりました。

これにより、効率的で緊急性に応じた対応が可能となりました。


管理物件の被害状況確認

被害調査の一環として、クラスコでは1月3日から8日間にわたり、空室物件918件の点検を実施しました。

この点検は2人1組で行われ、各物件に注意喚起の張り紙をし、落下の危険があるタイルの有無を確認し、必要な場所にはバリケードを設置しました。

弊社では年に一度、全社員が参加する大規模な清掃イベントを開催しており、その際にも「きろくん」という建物点検アプリを使用しています。

このアプリの使用経験があるため、普段は点検業務に携わらないスタッフも地震発生後の点検をスムーズに実施することができました。

点検項目はスマートフォン上で表示され、地震特有の点検項目も迅速に追加することができました。

入力されたデータは自動で整理され、報告書も瞬時に印刷可能です。


被災者への支援活動&告知

支援活動を迅速に開始し、仲介手数料を無料、対象物件の家賃を最大6カ月間クラスコが支払うというアナウンスを行いました。

Instagram、YouTube、TikTokで情報を拡散し、特に旧TwitterであるXでのシェアが目立ちました。

結果として、7万を超えるビューを獲得し、「クラスコが支援している」というメッセージが広まりました。

その結果、被災した多くの方が来店されました。


オーナーへの取り組み共有

現場対応と来店対応に忙殺され、オーナー様と頻繁に連絡を取る余裕がありませんでした。

そのため、状況報告に動画を利用しました。

地震の影響や被災者の来店状況を撮影した動画を作成し、オーナー専用のLINEグループで共有しました。

書類を作成してプリントアウトし、郵送する時間もありませんでした。

動画を通じて迅速に情報を共有できたことは、大変効果的でした。


以上が災害対応のポイントです。


管理物件の被災トラブル件数

【2024年1月1日〜2月29日のトラブル件数内訳】

水回りと電気の不具合は、お客様に一番不便をかけてしまいます。

やはり、電気温水器が倒れての水漏れなども多く、地震発生時にたくさんの水漏れが発生しました。

内装に関しては、クロスのひび割れが多くありました。

外装は、外壁のタイルが落ちていたり、ガラスが割れてしまったり、外壁の一部が破損していたりとこちらも多くの被害がありました。


まとめ

これらの不具合は一気に出てきます。

対応がきちんと行われないとパニック状態になり、お客様に更なるご迷惑をかけてしまいます。


事前に、地震対応マニュアルを準備して社内に共有していれば、また違う対応が出来ていたかもしれません。

しかし、普段の業務においても不動産テックを活用し、業務の効率化を行なっていたので、緊急の対応もスムーズに行えたのではないかと思います。


クラスコ本社のある金沢市は今回の地震での大きな被害は少なく、日常を取り戻しています。

しかし、これからも地域の賃貸管理会社として、生活に大きな影響が出た多くの被災者の支援に取り組んでいきます。



本記事は以下の動画を参考に作成しています。

こちらも是非ご視聴ください↓


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