
賃貸管理でよくあるクレーム・トラブル6選
2020.06.25
「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(令和3年法律第37号)において、行政手続・民間手続における押印を不要とするとともに、民間手続における書面交付等について電磁的方法により行うことなどを可能とする見直しが行われました。
この整備法による改正規定のうち、公布から1年以内に施行することとされていた宅地建物取引業法等の改正が、令和4年5月18日に施行されました(国土交通省発表:「『宅地建物取引業法施行令及び高齢者の居住の安定確保に関する法律施行令の一部を改正する政令』等を閣議決定」)。
これを受けて、不動産取引に必要な手続きがオンライン上で完結可能になりました。
本記事では、不動産取引に電子契約を導入する場合のメリットや導入する注意点を解説します。
不動産取引における電子契約とは、不動産売買や賃貸契約などの契約書を、紙ではなく電子ファイルで交付し、電子署名によって契約の成立を証明する方法です。
従来の不動産取引では、重要事項説明書や売買契約書などの契約書は、紙で交付し、印鑑を押して契約の成立を証明していました。
しかし、2022年5月に宅地建物取引業法が改正され、重要事項説明書や売買契約書の電子交付が認められ、不動産取引における電子契約が全面解禁されました。
書面契約と電子契約の違いは、主に以下の3点です。
契約書の形式
書面契約は、紙の契約書で締結されるのに対し、電子契約は電子ファイルで締結されます。
押印の形式
書面契約は、印鑑を押して契約の成立を証明するのに対し、電子契約は電子署名によって契約の成立を証明します。
証拠力
書面契約は、印鑑証明書によって証拠力を担保するのに対し、電子契約は電子署名法によって証拠力を担保します。
具体的には、書面契約では、契約書を印刷し、契約当事者の印鑑を押印して、郵送などで相手に送付します。
その後、相手も印鑑を押印して返送することで、契約が成立します。
一方、電子契約では、契約書を電子ファイルで作成し、契約当事者が電子署名を付与することで、契約が成立します。
電子署名とは、契約当事者の意思表示を電子的に確認するための技術です。
書面契約と電子契約の証拠力については、電子署名法によって、電子署名が付与された電子契約は、書面契約と同等の証拠力を有すると規定されています。
2022年5月に宅地建物取引業法が改正され、不動産取引における電子契約が全面解禁されました。
これにより、不動産売買や賃貸借契約などの契約書を、紙ではなく電子ファイルで交付し、電子署名によって契約の成立を証明することが可能になりました。
電子契約が可能な不動産取引の書類は、以下のとおりです。
不動産の売買や賃貸借契約を結ぶ前に、宅地建物取引士が物件に関する重要事項を説明するよう法律で義務付けられています。
説明時に買主や借主へ交付する物件の重要事項説明書も電子化が可能になりました。
契約締結時書面とは、不動産売買や賃貸借契約の成立を証明する契約書です。
契約締結時書面には、以下の内容が記載されています。
・契約の種類(売買契約、賃貸借契約など)
・契約の対象物件
・契約金額
・契約の条件
・契約の成立日
・契約の解除
・解約に関する事項
37条書面とも呼ばれ、不動産売買契約書も同じ書類を指します。
媒介契約締結時書面とは、不動産売買や賃貸借契約の仲介を依頼する際に、不動産会社と売主または貸主が締結する契約書です。
媒介契約締結時書面には、以下の内容が記載されています。
・媒介の種類(専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約)
・媒介の期間
・媒介の依頼内容
・仲介手数料
・売主または貸主の義務
・不動産会社の義務
媒介契約締結時書面は、宅地建物取引業法第34条の2に基づき、不動産会社は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、媒介契約締結時書面を作成して、当事者に交付しなければならないとされています。
売却に出されている物件の情報は、指定流通機構(レインズ)で複数社に共有されます。
レインズに物件を登録すると売主に証明書が発行される仕組みになっていましたが、この書類も電子化の対象となりました。
不動産取引における電子契約のメリットは、以下のとおりです。
書面契約では、契約書の作成や印刷、郵送などの手間がかかるため、契約締結までに時間がかかります。
その点、電子契約は時間・場所に縛られず、契約可能なので、取引先までの移動・郵送の時間・経費の節約ができ、郵送の作業など契約業務の手間も減らせます。
書面契約では、契約書の印刷や郵送、保管にかかるコストが発生します。
例えば、印刷費・郵送費・保管費などのコストは、契約金額や契約件数に応じて大きくなるため、不動産取引における大きなコスト負担となっています。
電子契約を導入することで、これらのコストをすべて削減できるため、大きなコスト削減効果が期待できます。
また、電子契約の場合は印紙税が不要なため、印紙税も削減できます。
書面契約では、契約書を紙で保管するため、保管スペースの確保や紛失・盗難のリスクが課題となっています。
契約書の検索や閲覧も容易ではないため、必要な契約書を探すのに時間がかかる場合もあります。
一方、電子契約では、契約書を電子データで保管するため、保管スペースの確保や紛失・盗難のリスクを軽減することができます。
また、契約書の検索や閲覧も容易になるため、必要な契約書をすぐに見つけることができます。
さらに、電子契約では、契約書のバージョン管理も容易になるため、契約書の改訂漏れを防止することができます。
このように、電子契約では、書面契約に比べて、契約書の管理が容易になります。
電子契約導入にともない業務効率化が向上する一方で、デメリットが生じることもあります。
不動産取引における電子契約の主なデメリットと注意点は以下のとおりです。
電子契約は、契約当事者の意思表示を電子的に確認するための技術です。
そのため、契約を締結するためには、双方の同意が必要です。
書面契約では、契約書に署名・捺印することで、契約の成立を証明します。
一方、電子契約では、電子署名によって契約の成立を証明します。
相手方の承諾が得られない場合は、従来通り書面で契約を締結してなくてはなりません。
書面契約では、契約書を紙で保管するため、契約書の紛失・盗難のリスクが課題となっています。
一方、電子契約では、契約書を電子データで保管するため、紛失・盗難のリスクは軽減されます。
しかし、電子契約では、契約書をインターネット経由でやり取りするため、情報漏洩のリスクが存在します。
具体的には、以下のリスクが挙げられます。
・データの改ざんや消失
・第三者による不正アクセス
・サイバー攻撃による情報窃取
これらのリスクを防ぐためには、以下の点に注意する必要があります。
・電子契約サービスを提供する事業者のセキュリティ対策を十分に確認する
・契約書の送信・保存には、暗号化などのセキュリティ対策を行う
・契約書の閲覧・編集には、アクセス制限を設ける
不動産取引においては、契約の対象となる物件の状況や契約条件など、重要な情報が記載されています。
電子契約を利用する際には、これらの情報の漏洩に十分注意する必要があります。
業務フローを見直さずに電子契約を導入すると、業務の効率化が図れず、かえって業務が複雑化する可能性があります。
不動産取引においては、契約書の作成や交付、保管などの業務が複雑化していますので、 電子契約を導入する際には、これらの業務フローの見直しも検討する必要があります。
業務フローの見直しを行うことで、電子契約による業務の効率化を図ることができます。
具体的には、以下のような方法があります。
・契約書のテンプレートを作成する
・電子契約サービスを活用する
・RPAやAIなどの自動化ツールを導入する
このように、業務フローを十分に検討し、見直すことで、電子契約の導入による効果を最大限に引き出すことができます。
電子署名は、電子証明書とタイムスタンプによって構成されています。
電子証明書は、契約当事者の本人性を証明するためのもので、タイムスタンプは、契約書の作成日時を証明するためのものです。
電子証明書やタイムスタンプには、それぞれ有効期限があります。
電子証明書の有効期限は、一般的に2~3年、タイムスタンプの有効期限は、一般的に10年です。
有効期限を経過すると電子証明書は失効になり、署名したのが本人であることや改ざんされていないことを証明できなくなります。
そのため、電子契約を締結する際には、電子証明書やタイムスタンプの有効期限に注意する必要があります。
電子契約サービスとは、契約書の作成や送信、電子署名などの手続きをオンラインで行うことができるサービスです。
そのため、従来の紙ベースの契約書の運用に比べて、業務の効率化が図れます。
また、進捗状況を可視化できるため、契約書の締結状況を把握しやすくなります。
さらに、電子契約サービスは、法律への対応やセキュリティ対策を講じた上で運営されていますので、情報漏洩のリスクを軽減することができます。
電子契約サービスの導入を検討する際には、以下の点に注意しましょう。
・電子契約サービスの機能や料金を比較検討する
・自社に合った電子契約サービスを選ぶ
・電子契約の導入に伴う業務フローの見直しを行う
電子契約サービスの導入を検討することで、不動産取引の業務効率化とコスト削減を実現することができます。
2022年5月から、不動産取引の契約に関しての印鑑の押印や書類の物理的な提出が不要になり、契約のオンライン締結が可能となりました。
これにより、業務の効率化やコストの削減が見込めます。
ただし、電子契約を利用する際には、相手方の同意が必要です。
メリットのだけでなく、注意点も踏まえたうえで、電子契約の導入を検討しましょう。
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