賃貸管理でよくあるクレーム・トラブル6選
2020.06.25
相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由により、土地を手放したいというケースがあります。
そして、そのようなケースは年々増えているばかりでなく、これまでの過去のものから蓄積されている、相続した土地が登記されておらず、所有者がわからなくなってしまっている土地もたくさんある日本の国の実情であり、大きな問題となっています。
そこでこのような土地を国庫に帰属させる制度として、「相続土地国庫帰属制度」が、令和5年4月27日からスタートしました。
この記事では、この制度について詳しく見ていきます。
遺産相続で、土地の相続がある場合には、通常は相続手続きを経て登記が行われるべきです。
登記は、土地の所有権を明確にするために重要な手続きであり、所有者の変更や権利の確定に関わるものです。
しかし、登記が適切に行われず、所有者が不明のままの土地が増えています。
相続を受けた時に、登記を行なっていないか、あるいは、登記はされていて所有者はわかっているものの、その人の生存や所在がわからないというケースが多くあるためです。
所有者が不明の土地の面積は、九州よりも広く、国土の約22%に上ると言われています。
このことは大きな社会問題となっています。
所有者不明の土地が増え、管理されずに放置されれば、その一帯が荒れてしまったり、周辺の環境や治安の悪化を招いたり、防災対策や開発などの妨げになったりしています。
そこで、こうした所有者不明土地をなくすため、令和3年4月に、所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」の両面から、総合的に民事基本法制の見直しが行われ、新しいルールが生まれました。
そのルールは不動産登記改正法と言います。
令和6年4月1日から、不動産の相続登記が法律化されます。
今後は親などから、土地や建物を相続した時には、3年以内に相続登記をしなければいけません。
この場合、自分が相続人だとわかる戸籍謄本を添付して申し出るだけで、相続登記の申請義務を果たす事ができるようになるという新たな登記方法が創設されます。
また、一定の場合には、登記費用の軽減も検討される予定です。
その前提として、令和5年4月27日から、相続して登記した土地の、処分に困っていたり、使い道がなかったり、管理が行き届かないから手放したいという土地を、国が引き取ってくれる制度が生まれました。
それが、ここで取り上げる「相続土地国庫帰属制度」です。
このように、所有者不明土地をなくすために、この「相続土地国庫帰属制度」が生まれました。
相続する事になる、あるいは相続をした土地を、手放したいという場合は、以下の3つの方法があります。
自分でその土地を、何かしらの形で利用する、あるいは売却したり、賃貸をするという方法があります。
土地を相続しても、活用も売却もできない場合があります。
その土地の管理費用や固定資産税の負担を考慮した場合に、負担が大きくなる時は「相続放棄」という選択もあります。
「相続放棄」は、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てて、被相続人の権利や義務を一切受け継がないことにする手続きです。
これによって不要な土地の相続を行わなくても良くなります。
ただし、相続放棄は、不要な土地だけでなく、預貯金や株式など全ての資産の相続権も失うことになってしまうため、検討が必要になります。
①も②も出来ない場合に、相続した土地を国に引き渡せる制度を活用します。
これが、新しくできた相続土地国庫帰属制度です。
この制度については、この次の項目で詳しく解説します。
「相続土地国庫帰属制度」は、相続又は遺贈(自身の財産を遺言によって指定した人へ贈ること)によって宅地や田畑、森林などの土地の所有権を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に引き渡す(国庫に帰属させる)ことができる新しい制度です。
不要な相続土地の処分に困っている人のための制度であり、前述した通り、国に所有者不明土地をこれ以上増やさないために生まれた制度です。
それでは、この制度の詳細を見てみましょう。
相続土地国庫帰属制度のポイントは、以下のとおりです。
(1)相続等によって、土地の所有権又は共有持分を取得した人が、法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることを承認申請できる。
(2)法務大臣は、承認の審査をするために必要と判断したときは、その職員に調査をさせることができ流。
(3)法務大臣は、承認申請された土地が、通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらないと判断したときは、土地の所有権の国庫への帰属について承認をします(引き取れないと判断される土地もあります)。
(4)土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けた人は、一定の負担金を国に納付して、土地の所有権を国庫に帰属させます。
申請できるのは、相続や遺贈で土地を取得した相続人です。
・この制度の開始前(令和5年4月27日より前)に相続した土地でも申請できます。
・兄弟など複数の人たちで相続した共同所有の土地でも申請ができます(その場合所有者全員で申請する必要があります)。
※生前贈与を受けた相続人、売買などによって自ら土地を取得した人、法人などは、相続や遺贈で土地を取得した相続人ではないため、申請できません。
・申請先
申請先は、帰属の承認申請をする土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)です。
・相談先
令和5年2月22日から、全国の法務局・地方法務局において、制度の利用に関する相談が受け付けられています。
次のような土地は、通常の管理や処分をするに当たり多くの費用や労力が必要になるので引き取りの対象外となります。(法務省ホームページより抜粋)
<引き取ることができない土地の要件の概要>
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(2) 承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
・審査手数料
申請する際の費用は、1筆(筆:登記上の土地の個数を表す単位)の土地当たり1万4000円を納付する必要があります。
・負担金
法務局による審査を経て承認されると、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額の負担金を納付します(1筆ごとに20万円が基本)(同じ種目の土地が隣接していれば、負担金の合算の申出をすることができ、2筆以上でも負担金は20万円が基本)。
・一部の市街地の宅地、農用地区域内の農地、森林などについては、面積に応じて負担金を算定するものもあります。
▼詳しくはこちらをご覧ください(法務省ホームページ)
相続土地国庫帰属制度を利用して、相続した土地を国に引き渡すための手続は次のとおりです。
申請を検討する人向けに、具体的な手続や制度の詳しい部分を紹介した「相続土地国庫帰属制度のご案内」(申請の手引き)があります。
相続した土地を活用するケースで、「土地を売る」事を検討する事があります。
不動産の売買のための不動産テックとして、「売買の窓口」があります。
売買の窓口は、不動産の購入・売却専門店として、地域に根ざすことができます。
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令和5年(2023年)4月27日にスタートした、「相続土地国庫帰属制度」(土地の国庫帰属制度)について解説させていただきました。
相続した土地が、適切に登記されず、所有者不明土地になることを避けて、新しく生まれた制度です。
この制度について詳しく知りたい方のために、わかりやすく解説させていただきました。
ぜひご活用ください。
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